'99.10.19 
学級崩壊の現場から 

子どもたちの反乱
―《4》― 
 生じた亀裂 

担任の「叫び」空回り
PHOTO
 六年一組は、担任に大中和一(44)を迎え「学級再生」への歩みを始めた。教頭平尾康子(53)は思う。精いっぱい大中を支えよう、職員が一つになろう―。前の年、学級が崩れていく様子を目の当たりにしながら、担任の力になれなかった。教頭として、どう導けばよかったのか。自らに問いながら、平尾は「五年一組」を振り返る。

 四月から、担任横田由美(42)は、学級で頻発する「靴隠し」に悩んでいた。だれかの靴が、片方だけ木の枝にひっかけてあったり、校門の外に落ちていたり…。「放っておけばいじめにつながる」。横田は、靴隠し根絶に力を尽くした。

 授業を中断し、クラス全員で靴を探した。昼休みも返上。捜索は放課後も見つかるまで続く。そして原因をつかむために、横田は一人ずつから話を聞いた。「今日のことは今日解決したい。明日に持ち越せば、子供たちが苦しむだけ」。けんかが起きても必ず横田は、だれがけんかの原因をつくったのかを問い掛け、その日の解決に努めた。

 やがて靴隠しは終息した。だが一方で、子供は横田に距離を置き始めた。「説教がぶち長い。事情聴取みたい」「まるで犯人探し」「けんかしても弱いやつの肩を持つ。ひいきじゃ!」。指導すればするほど、子供の不満は募る。「ボタンの掛け違え」が続く。

 おとなしい子を相手に授業を進めた結果、ほかの子は「先生はぼくらを徹底的に無視した」と主張した。人間関係が崩れ、だれもが思い思いの場所に席を構えた。教室に入るのを渋る子。無秩序な教室になじめず、暴れ出す子…。授業中も雑誌や塾の問題集が広げられた。「前を向いて!」。横田の叫びだけが響いた。

 九月。運動会の練習中も集団を抜け出す五年一組を見て、平尾は横田に言った。「子供らが不安定になっとるね。お説教ばかりに時間を割かんと、授業をこなして生活にリズムを作らんと」。すると横田はこう言った。「みんな、日々成長しています。いい子になっています。信じてください」

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

Q 靴隠しが続いたら…   <広島県内5人の教師から>
 クラスで物隠しが起きた時は、最初の対応が肝心。犯人捜しはしないが、授業を中断してでも、徹底的に靴を探す。その後で「このような行為があって先生は残念だ」とこどもたちに話す。連続して起きた時はこれを繰り返す。
40代・小6担任
先生、こんな時どうする?  子どもたちの人間関係がどうなのか、毎日連絡帳に書かせている日記や、休憩時間の様子をよく見て、学級全体に話す。だいたいだれがやったのか目星は付く。ただその子に直接話すのは、自分が現場を見た、など確実な証拠を押さえてから。
20代・小3担任

MENUBACKNEXT