'99.10.20 
学級崩壊の現場から 

子どもたちの反乱
―《5》― 
 ベテランの自負 

同僚にも心を開けず
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 「子供たちは、昨日より今日の方がずっといい子になってるんです」。教頭平尾康子(53)に、五年一組の担任、横田由美(42)は笑顔をつくって言い返した。そして、同僚に同意を求めた。「ねえ、うちのクラス、良くなっているでしょ」

 横田は日課のように、平尾にクラスの状態を報告しに来た。「今日の算数は、みんな静かに聞いてくれました。給食も静かに食べました」。そして「昨晩、十二時までかかって仕上げたんです」と、ノートにびっしり書き込んだ授業研究を広げて見せた。五年一組の教室を見渡すと、至る所に張り出されたクラス目標に気付く。「元気に 明るく 健やかに」―。

 平尾は、横田が痛々しかった。教師歴二十年を越える経験が彼女を支えている。どの子もクラスの輪から外れないよう、まっすぐ育てたいという思いが伝わる。本来ならば全職員で五年一組を支援したい。でも彼女は「助けて」とは言えない人。必死で踏ん張っている所に、土足で上がりこんでもいいものか。

 平尾自身、ちょうど横田くらいの年に、「大失敗」を体験した。三年の担任だった。「真っ正直な人間に育てんと、将来この子らが困る」。そんな使命感に燃え、忘れ物が絶えない男子に言ってしまった。「言う事を聞かんなら、学校に来んでよろしい」。すると彼は本当に来なくなった。

 「お願いだから、学校に来てください」と彼に謝り続け、溝を埋めた。一人にかかり切りになった結果、周りの子が暴れ出した。学級を立て直せなかった。この体験を、何度も横田に話した。「子供なんて、先生と心が通っていないと規則なんて守らん。まずは、信頼関係を築かんと」。横田が自分の痛みを語れるように、心を開いてくれることを願った。

 そんな十一月のある日。五年一組の弘志が職員室に駆けて来た。そして平尾に叫んだ。「先生、いじめじゃ、いじめじゃ」。平尾は教室に走った。放課後、午後六時を回っていた。辺りはすでに真っ暗だった。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

Q 半数の子が忘れ物をしたら…   <広島県内5人の教師から>
 教師の指示の出し方に落ち度がないか省みる。また、授業で使う日よりも少し早めに、必要な物を持って来るように言う。そして忘れ物をすると授業ができないことや、必要な物をきちんと持ってくることの大切さを話す。
20代・2年担任
先生、こんな時どうする?  忘れ物をすると学習に支障をきたすことを教え、なぜ忘れ物をしてはいけないのか、子どもたちに考えさせる。そして、次の日に必要な物をメモさせ、そのメモと時間割表を見ながら準備する習慣をつけさせる。もちろん家庭の協力を仰ぐ。
50代・小学校長

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