| '99.10.23 |
| 学級崩壊の現場から |
―《8》―
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みんな主張し始めた |
運動場の片隅で目に涙を浮かべる健太。なかなか教室に入って来なかった。「おまえ、わしの授業が、そんなに面白くないか」「みんな、お前を待っとる」「わしと帰ったら、体裁悪いじゃろうけー、落ち着いたら帰ってこいよ」。担任の大中和一(44)は、健太の肩を抱いた。 健太は、スキッとした顔で戻った。「お前がおらんと、このクラスはクリープの入らんコーヒーじゃ」。そう言う大中に、「せんせーえ、サブいよ」。みんなが笑い、健太も笑った。 気の弱い男子が、もう一人のリーダー慎太郎に反旗―。こんなこともあった。 「机の中の女子の日記を、取って来い」と慎太郎から命令され、しかたなく行動に出た。「日記を読んだのはだれ」。女子からの抗議に、慎太郎は、その男子の名前を挙げた。すると―。「お前がやれって言ったじゃないか」。自分の気持ちを堂々と述べた。 「弱肉強食を打破しよう」は、大中の口くせである。常々、こうも言ってきた。「お前の言い分だけが正しいと思うな」「言いたいことが言えない雰囲気は不快」。ルールを破った子とのにらみ合いは、真剣勝負だった。 学級通信「フレンズ」も積極的に活用した。目標とすべき「ハードル」を設けて載せた。自分はクラスの中でかけがえのない一人だとの自覚を持つべし、言いたいことは正々堂々と言うべし、自分の行動に責任を持つべし…。段階的に、その目標を高めて行った。 ただ、あくまでも強制はしなかった。「矛盾」が起きるまで、大中は気長に待ち、それから「善悪」を決めた。例えば、たまごっちとプリクラシール。休み時間に遊ぶのは許していた。だが、プリクラのごみが散乱したり、弱い子のたまごっちが紛失した時、子どもに初めて「禁止」と告げた。子どもたちは、無理なく決まりを守れた。
(文中仮名。写真と本文は関係ありません)
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