| '99.10.29 |
| 学級崩壊の現場から |
―《13》―
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参加を促し心つなぐ |
「和歌山と愛媛の特産は?」。矢継ぎ早に問題を出し、班で相談させる。じゃんけんに勝った代表が叫ぶ。「みかん!」。正解した班は、廊下側の「一等席」エリアに机ごと移動。大中は彼らと握手を交わし、小さなシールを個々に授ける。五十枚たまると、それは大きな金シールに変わる。 逆に、授業に無関係なおしゃべりが見つかると、運動場側の「末席」に移される。席順と班の顔ぶれが、目まぐるしく変わる「世界一、席替えの多いクラス」。一等席を目指し、子どもたちは協力体制をつくる。 子ども同士は、実は仲良くしたいと思っている。言い争いやにらみ合いは疲れるだけ。五年の半ばから、全員が味わってきた思いだ。でも、こじれた関係の修正は難しい。仲直りするにも、見栄や照れがある―。そんな子どもの本音を、大中が授業でつなぐ。 「一分間、班で相談せい」「あの時計で四十五分までに、全員が意見を発表するように」。細かく時間を指定し、目標を定めれば達成感も極まる。大中も「説教は二分まで」と決めた。「人の発表に、じっくり耳を傾けられるようになったね」。確認できた進歩は、必ず学級通信で褒めた。 子どもたちは競って「自主学習帳」を提出するようになった。教科書を自分なりにまとめた「努力の跡」は、通信に掲載してもらえるから。大中は習字や絵の力作も、水泳のタイムもどんどん紹介した。絵がうまい子、走りが早い子、作文が得意な子…。みんなが互いの力を認め合う。自力で、つながりを深めていく。 九月の運動会。六年の組み体操に歓声と拍手が沸いた。腕をからめ、肩を支え合い、笛の合図でポーズを決める子どもたち。「涙でカメラのシャッターが切れなかった」とある保護者は言った。レンズの向こうには、ピラミッドを成功させたみんなの笑顔。そして、笛をくわえたまま真っ赤な顔で涙をぬぐう、大中の姿があった。
(文中仮名、写真は本文と関係ありません)
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