| '99.10.31 |
| 学級崩壊の現場から |
―《14》―
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成長かみしめた完走 |
中でも、徹の文章が目を引いた。「去年は完走すらできなかった。だから、どうしても完走したかった。順位も気にならなかった」。何度も出てくる「完走」の文字。走り切ることに、徹はこだわった。 昨年のマラソン大会―。「体操服はどうしたの?」。担任横田由美(42)の問いに答えず、徹はジーンズで走ろうとした。母和子が体操服を持って駆け付けた。しぶしぶ着替えたが、徹は校庭を一周しただけで、保健室に直行した。 ベッドに潜り、毛布にくるまって徹は叫んだ。「何で、先生の言いなりにならにゃいけんのか!」。大柄な徹は窮屈な体操服が嫌いだった。だが、抵抗の理由はそれだけではなかった。 徹は学級のリーダー。周りに与える影響は大きい。徹が騒げば、ほかの男子が続く。徹に対する横田の指導は自然と熱が入った。「おればっかり、怒られる」―。そんなストレスに、徹も苦しんでいた。 当時のわが子を、和子は思い返す。常にイライラし、怖い顔をしていた。二学期の通知表を見て、目を疑った。評価は「たいへん良い」「良い」「もう少し」の三段階。息子の通知表はすべてが「もう少し」だった。学習面だけではない。「友達と仲良くする」「係の仕事をきちんとする」など生活面の評価も…。息子がポロッと涙をこぼした。 横田は、和子に言った。「徹君は、力で弱い子を圧倒している。このままでは将来が心配なので、厳しい評価を付けました」。何でこうなってしまったのだろうと、和子は悩んだ。理由は解けぬまま、五年を終えた。三学期の通知表もすべて「もう少し」だった。 「完走」にこだわった徹は、前年より成長した自分を、確かめたかったのかもしれない。上位には入れなかったが、徹は感想文の最後をこう結んだ。「ぼくは完走した。ゴールした時は、最高にいい気持ちだった」
(文中仮名、写真は本文と関係ありません)
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