| '99.11.02 |
| 学級崩壊の現場から |
―《16》―
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寄せ書きに「頑張る」 |
担任だった大中和一(44)に、寄せ書きしたTシャツをプレゼントした。「頑張る」「飛翔(ひしょう)」。大中の好きな言葉が並んだ。 「缶コーヒー事件」の話題になった。マラソン大会。ある男子が、缶コーヒーを飲みながら登校しているのを、大中が見つけた。「ちょっと、理科室に来い」。注意されるかと思っていたら、返ってきた言葉は「うまかったか」だった。そして「おれと一芝居打たないか」。ほほに手を当てながら「痛てぇ」と教室に帰る男子。目を水でぬらすことも忘れなかった。 同窓会の一週間前。大中は自宅でワープロに向かっていた。通算七十一号になった学級通信「フレンズ」の特別号を、子どもたちに手渡すためだ。「授業が成立しない、授業中の態度が悪い、と全国的に言われてるけど、君たちはどう? 頑張っているよね」。迷った末、こんな文面にした。 私たちは卒業した彼、彼女たちに度々、集まってもらった。「先生を困らすことで、ストレスを発散させていたのかも」「だれが一緒だったかよく覚えていない」。学級崩壊のきっかけになった五年の時に、話題が集中した。 「おれたちも悪かったのかな」。崩壊の先端を走っていた徹がつぶやいた。その徹は今、クラブ、塾、学校の勉強と忙しい。時に自分を見失いがちになる。テスト期間中。徹の母和子は、机の上に「フレンズ」を置いておいた。ちらっと目を通した徹。少し気分が落ち付いたという。 あれほど、女の子の仲間から「いや」と拒絶されていた実加も、クラスメートと大の仲良し。相変わらず、気の強さは変わらない。そんな実加が、将来の夢を教えてくれた。「学校の先生になりたいんです。大中先生のような」
(文中仮名、写真は本文と関係ありません) =おわり (藤井礼士、木ノ元陽子)
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