| '99.11.7 |
| 教育再生へ |
―《1》
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東京都内の私立高校と公立中学校で22年間の教師生活を送り、その後教育評論家に転身した尾木直樹さん(52)=三鷹市。全国を飛び回って講演活動を続けるかたわら、学校や幼稚園、県教委など年200カ所以上を訪れ、学級崩壊から脱出する糸口を探っている。現場での取材を重ねて得た再生へのヒントは―。
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皆で考える学級づくり 私は学級崩壊は学級担任制のある小学校の現象と定義している。低学年では、乳幼児期の生活の崩れが関係している。夜型で食生活のバランスが取れてないのでキレやすい。それに今、幼児教育では一列に並んだり、みんな一斉に「いただきます」で食べることを重視していない。だから小学校生活を始めるのに、段差が生まれる。 幼稚園でも主体性を重視しながら、集団行動のルールはきちっと教えた方がいい。そして、小学校では授業のカリキュラムを少し後ろにずらして、一学期間は幼稚園からの切り替えの期間としたらどうだろうか。 授業良ければ平穏 五、六年になると、担任がいじめられる。教師がひいきや差別をする、と嫌われるところから始まる。担任が子どもたちの人気者で、授業もうまいと起きない。反抗期もあって、「こうすべきでしょう」と子どもを抑圧する先生のクラスは崩壊する。 今の子どもは、納得できないことに「うん」と言わない。平仮名を「はい、五十回書いて」とか、「九九を覚えなさい」ではだめ。「『う』は宇都宮の宇から来ているんだよ」などと人間の生きてきた歴史や、文化を知る喜びを教えないと。 また学級通信は子どもたちの「交流広場」にできる。今の子どもたちは自己開示が下手。自分と同じ悩みを他人も持っているなんてわからない。例えばテスト前に、「テストが嫌だ」という声を、班ノートから抜粋して載せる。すると「なんだ、あんなに頭のいいあいつでも同じなんだ」って友達の気持ちがわかってほっとするものだ。 では、学校全体としては何ができるか。とにかく密室状態の教室に風穴を開けることだ。教頭が教壇に立ったり、先生たちが授業交換したりと、部分的でもチームティーチングを取り入れる。あるいは学年担任制にして、一組の給食は、五月は田中先生、六月は山田先生にお願いしよう、とか。先生みんながあなたたちを見てるんだよ、と子どもたちに伝えることが大切。 保護者協力も必要 保護者の協力も不可欠だ。千葉県松戸市の小学四年のクラスでは、保護者約二十人が本を読み聞かせて、学級崩壊から立ち直った。お母さんたちに、ボランティアで分数を教えてもらってもいい。学校運営にも参加してもらう。運動会の日程や校則、教科書を決めるのに親も責任を持つ。一緒に子どもを育てているのだから。 もし「僕のクラスが学級崩壊になりそうだ」と子どもから相談されたら、「君たちがしっかり授業を受ければいいんだよ。そして仲間を増やしなさい」と答える。騒ぎ出した子に先生が気を取られている間に、他の子たちまで好き勝手なことをするから、授業が成り立たなくなる。 学級崩壊は、普通の子たちが愛情不足で、弱くて、引き込まれてしまうから問題なんだ。問題を抱えた子がいるのは大いに結構。他の子たちは、それをチャンスにどうやってクラスをつくっていくかを考え、成長すればいい。
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