| '99.11.10 |
| 教育再生へ |
―《4》
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埼玉県川越市で公立中学校の教師を勤め、教師仲間とつくった勉強会「プロ教師の会」での実践をマスコミに発表してきた河上亮一氏(56)。二月に発売された著書「学校崩壊」では、中学校の現場とその背景をつづり、三十万部を売った。「教育システムの崩壊は豊かな社会を手に入れたツケ」と言い切る。
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家庭も子育てに専念を 今の子どもたちは、自分が一人前で、教師と対等だと思っている。だから教師の言うことを聞かなくてはいけない理由はないわけだ。騒いでいるA君に「静かにしなさい」と言うと、「何でおれだけ?」と言う。「お前の授業は面白くないんだよ。おれたち二人の会話の方が重要なんだ」と言い出す。これでは教育は成り立たない。 ごみ掃けぬ子ども 生活の仕方も身に付いていない。給食をぽとぽと落としながら食べる。ほうきでごみを掃けないし、五十分間、座っていられない。四、五歳の時に覚えるべきことができないでいる。子育てと教育のシステム全体が壊れている。 日本が豊かになり、子どもが我慢する必要がなくなったからだ。自由が最大限に重要視され、強制されるとキレる。経済的に豊かになったツケが教育に回ってきた。今までは「学校は学ぶ場で、生徒は教師の言うことを聞くものだ」という世論があった。それがなくなったから、古い学校システムが崩壊した。私は当然の結果だと思う。 ただ私は義務教育の最終的な目標は、子どもたちの社会的な自立を手助けすることにあると思っている。基礎的な知識とか、生活の仕方、他人と一緒にどう生きるかを、できる範囲で教えていくしかない。しかし、文部省はどんどん自由を促進しているから、学級崩壊はこれからも増えるだろう。見方を変えれば、古い学校を壊すんだから、いいことかもしれない。 しかし問題が二つ残る。レベルの高い総合的学習を導入すれば、生徒の学力差は広がるだろう。それから、私は「学校崩壊」で体育祭や文化祭でクラスがまとまっていく様子を紹介したが、学校行事はだんだん少なくなっている。つまり、集団行動の訓練ができなくなる。この問題にも文部省はまだ答えてない。 生活密着の授業を 私は授業では、教科書をいかに理解しやすく教えるかを第一に考えている。例えば、日本国憲法の前文を勉強する時に、生徒に自分の言葉で書き直させたのもそのためだ。これからも、例えば日清戦争を過去の事実として教えるだけでなく、今の生活にどんな影響を与えているか、を取り上げたいと思っている。 担任を持ったら、毎日の出来事を日記に付け、一日を振り返ってみることにしている。年を取ると頭が固くなる。そうやって自分の行動を客観視しないと、変わっていく子どもたちについていけない。 教師がしなくてはいけないことは、学校がどういう状況にあるのかを、もっと外に向かって発言することだ。保護者会でも正直に報告する。銀行と同じで、気が付いたらつぶれていたなんてひどい話だ。その前に現状を外に知らせるべきだ。 ただ、保護者から子どもたちにどう接していけばいいのか聞かれても、現場の教師である私には答えようがない。お父さんお母さん自身が、どう子どもを育てたいのかを考えてほしい。
(おわり)
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