車窓の秋は、庭先に色付くカキの実と稲刈り風景…。十月上旬、
駅近くの線路沿いに稲を干すはでが美しく並んだ。
町史編さん室の佐々木正孝さん(45)に案内してもらった。上殿は
石工の里として多くの腕利き職人を輩出、見事な石垣が随所に残
る。地区を貫くように上水路が流れる。
かつて上殿村も襲った一九二九年の大恐慌。上水路はその時建設
され新たな仕事を創出、村民挙げて危機を乗り切った。線路より山
側の水田の多くは当時開墾され、今も堅固な石組みを見せる。道を
開いた当時の村長の功績や村民の営みを記した石碑も建つ。
「進取、革新的な取り組みで多くの苦難を乗り越えてた精神は、
厳しい時代だからこそ大切にしたい」と佐々木さん。駅のホームか
らは、戸河内インターから加計町へと続くバイパス工事が見渡せ
る。歴史と文化あふれる上殿は、山県西部の新拠点としての顔も見
せつつある。