中国新聞


(4)
双方向交流育てたい
女性の視点 催しに活用

「がんばれかべ線
レディースサポーター」
事務局

井上 寿子氏
(企画会社経営)

 ―可部線の駅清掃、沿線でのコンサートや懇談会の開催など応援イベントの成果は。

 こまやかな交流を通して、沿線の魅力を再発見できた。湯来町(広島県)での軌道交通シンポジウムでは、温泉施設とJR駅を結ぶバス路線の整備を町長に提案した。地元では気付きにくいが、ひと工夫で魅力を増す観光資源が、まだ数多くあると思う。

 ―試験増便中、存続運動を支援するイベントが活発でした。

 私たちは、女性の視点を生かした無理のない「身の丈ボランティア」を心掛けた。動員力などの派手さはないが、地域の人たちと一緒に駅を彩る花々をプランターに植えたりして、一過性の押しかけイベントにならないよう、身近なつながりを大切にした。地元の婦人会の女性たちも、手づくりの料理などで温かく迎えてくれ、「可部線を残したい」という思いを共有できた。

 ―今回は都市住民のイベント参加が目立ち、沿線では都市との交流を地域振興につなげたいとの意気込みが感じられます。

 今までは接点がなさ過ぎた。可部線の存続運動が、中山間地と都市のかかわりを見つめ直す動きにつながったのでは。イベント色の強い都市主導型の催しなどで集まった注目を、どれだけ恒常的な交流として根付かせていけるかが課題だ。先日、広島市中心部であったコンサートに、加計町の住民たちが可部線とマイクロバスを使って訪れた。こうした双方向の交流を大事に育てたい。

 ―沿線自治体の一つとして、広島市の対応は。

 冷ややかな印象を受けた。各種イベントのPRなど、市民に存廃論議を盛り上げる姿勢がもっとあっていい。存続に実質的メリットがなくても、利便性の追求だけが都市のあり方ではないと思う。

 ―もうすぐJRが最終判断をします。

 企業として確かに採算性は無視できないが、存続の道はあるはず。JRと沿線自治体は、これだけの反響をプラスにとらえ、貴重な軌道交通の活用策をもっと話し合ってほしい。廃止は簡単だが、簡単には元に戻せないのだから。

 ―廃止が決まれば…。

 今回生まれた中山間地の人々とのつながりを財産に、グルメツアーや音楽会の開催など、草の根のイベント企画を続ける。結論はどうあれ、交流の種はあちこちで芽吹きを待っている。

(山本洋子)


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