中国新聞

新旧の主役
木坂駅(加計町)

物流の担い手 時を超え

ディーゼル車の黄色と川舟の白い帆が春の青空の下、美しいコントラストを描いた

 川は大人も子どもに変えてしまう。昨年夏、太田川に復活した二 そうの川舟。舟に揺られる子どもたちの歓声に「こりゃあええ」と 大人たちの笑顔が交じった。川面に映る白い帆と、ろをこぐ船頭の ゆったりとした動作が、なぜか懐かしい。

 上、下流域を問わず太田川を愛する人たちが立ち上げた「太田川 いなかもん倶楽部(くらぶ)」(池田晃二会長)が仕掛け人。「川 舟が太田川の自然や歴史、文化など上流域の営みを知るきっかけに なれば」とメンバーたちは願う。

 上流域の物資を運び、城下町広島の発展を支えた太田川舟運は昭 和初期にほぼ姿を消した。三十年近くたった五四年、加計駅まで延 伸された可部線により、材木やまくら木などが運ばれ、戦災復興や 生活を支えた。

 加計町鮎ケ平の船着き場を出る川舟。ディーゼル車は対岸の鵜渡 瀬(うどせ)を横切り三段峡に向かう。都市と地元の子どもたちは 可部線利用促進や地域イベントなどで川舟の体験をした。「ええ励 みになっとる」と船頭役を務める河野幸さん(82)。周辺住民は「川 舟の里」づくりを目指す。

 百万都市広島と西中国山地をつなぐ太田川と可部線。新旧の主役 が時を超えて交流をはぐくむ。


Top Next Back