早朝の津浪駅ホームに朝顔の薄紫の花が咲く。「ようつきはじめ
たね」と、列車に乗り込む通勤客らを、まるで見送るかのよう。午
前八時十六分の上り列車が発車するころには、静かにその短い生涯
を閉じる。
「原坊の朝顔」―。サザンオールスターズの桑田佳祐さん、原由
子さんが毎年、ファンクラブを通し朝顔の里親を募集。里親に選ば
れた「TSUNAMI隊」が五月、ホームに種をまいた。
隊は桑田さんを津浪に呼ぼうと、広島市内の若者を中心に結成。
朝顔は津浪地区との交流の象徴でもある。地区の女性を中心に、朝
顔の花壇を作り、他の花も植えた。
「気持ち良く乗ってもらいたくて」と、斉藤准子さん(52)。駅周
辺の女性十五人が毎夕、順番で花に水を与える。駅に水道は無い。
暑い最中、何度も駅前の国道を渡り水をくんでは、じょうろで水を
やる。
交流を機に活発化した地域づくり。アジサイの植栽や登山道整備
も始まった。住民でつくる津浪振興会の佐々木勝開会長(63)は「自
分たちの手で何かやったあかしを残したい。この元気を持続してい
きたいんです」。