中国新聞

復活の花火
水内駅(湯来町)

路線存続 願い託し500発


可部線存続を願い、復活した花火。下方にヘッドライトをつけたディーゼル車が光の帯のように進む
(多重露光)

 打ち上げられた五百発の花火が、太田川の水面を照らした。谷間 にさく裂音が響く。「十、九、八…」。「ナイアガラ」は見物客の カウントダウンで始まった。炎が本物の滝のように川に流れ出す。 光と音の共演がディーゼルの車窓を彩った。

 水内駅周辺で二十八日に開かれた「太田川清流まつり」。景気低 迷で中断していたが、可部線存続の願いを込め、周辺の久日市、宇 佐、津伏の三地区の住民が五年ぶりに復活させた。実行委員会のメ ンバーに、すぐ八十人が名乗りを上げた。

 住民は「可部線音頭」の練習を重ね、まつりで披露した。「復活 できたのは、可部線廃止への危機意識から」と事務局長の新井鐘哲 さん(51)。

 わずか一・四キロ、可部線は湯来町の東端をかすめるよう走る。 町内には水内駅ただ一駅。それでも三地区にとっては、通勤、通学 にかけがえのない路線。昨年の試験増便以降、町ぐるみの存続運動 が勢いを増した。

 実行委員長の新本三郎さん(65)は、水内駅長を六年間勤めただけ に、思いも強い。「存続がなるかならんか分からんが、希望をつな げてやろう。この地区は可部線に育てられてきたんだから」。可部 線再生を託した、復活の花火を見上げた。

TopNextBack