中国新聞

釣り人の影
安芸飯室駅(安佐北区安佐町)

アユを狙い しなるさお


太田川の風物詩、アユ釣り。向こう岸にディーゼル車が行き交う

 ディーゼル車に乗って上流へさかのぼると、並行して流れる太田 川に、流れのきらめきに溶け込むように、アユの釣り人がポツン、 ポツンと点在する光景が目に入る。六月の解禁当初の密度こそない が、絶えることなくその姿は続く。河原に係留されたアユの釣り 舟。時に、船上の釣り人の影が川面に揺れる。

 「ここは石が粗い。大きい石が多くあるんで、大きなアユが釣れ るんですよ」。安芸飯室駅近くの川で、安佐南区の洋服仕立業池尻 和彦さん(56)は、身長の三倍はありそうなさおを操った。

 安佐北区の気温が三六・九度を記録した七月下旬の昼下がり。河 原の石は焼け、かげろうが揺らめく先の対岸を、ディーゼル車が大 幅に減速しながら行き来した。

 舟運華やかな時代、付近はS字に急しゅんなカーブを描く川の難 所として知られた。「シシバシリ」「ヨコバシリ」という瀬の名が 当時しのばせる。今は釣り人の人気スポットでもある。

 釣り歴三十年の池尻さん。可部線の便数が多かった時代、列車に 乗って家族が届ける弁当が、時計代わりの可部線とアユ釣りの思い 出という。

 大田川のアユは釣りも味も、今が旬。間もなく建網漁が川を彩 る。

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