中国新聞

 JR可部線可部(安佐北区)―三段峡(戸河内町)間の存廃を決 める試験増便が、三十一日終わった。判断基準となる輸送密度は厳 しい結果が予想されるが、沿線では都市農村交流の新たなきずなが 力となり、数字では測れない地域再生の動きが広がった。一年間の 成果と課題を検証し、地域と交通の将来像を探る。
  「可部線の行方―検証 試験増便」


4. 「河戸電化」  乗客増担う期待の構想

 可部線可部―三段峡間の存廃を判断する一年間の試験増便が終わ った三月三十一日。戸河内町であった「かべせんフェスタ」に駆け 付けた広島市安佐北区亀山地区の住民約百五十人は、ひと際大きな 拍手を贈った。

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車内で存続策を話し合う秋葉市長(右から2人目)ら沿線首長。存続には財政負担など痛みも伴う(3月31日)

 「河戸電化」―。可部線対策協議会が発表した「地域と鉄道の再 生」案に、この構想が盛り込まれたからだ。

 「街づくりの起爆剤となる。可部線の乗客数も飛躍的に増える 」。住民でつくる「可部駅・河戸駅間電化促進期成同盟会」の平盛 儀範会長(75)の言葉は弾んでいた。

 地元は新たな財政負担も

 可部線の電化区間を可部駅から一つ先の河戸駅まで一・三キロ延 伸する構想。駅周辺に住宅団地が広がり、三十年以上も前から地元 の悲願だった。半面、試験増便がさほど芳しくない結果で終わった 今、可部駅以西が廃止されれば、駅そのものもなくなってしまう。 電化延伸地図

 対策協は、電化延伸を実現し、河戸駅までの運行便数を増やせ ば、現在約五百人前後の輸送密度(一日一キロ当たりの平均乗車 数)は百人以上底上げできるとはじく。存続に向け、JRへの説得 材料としたい構えだ。

 一方、地元には新たな財政負担を伴う。電化延伸と便数増に伴う 費用は、緑井―可部間の列車すれ違い施設の建設費を含め、約三十 〜四十億円の見込み。JRと地元の負担割合について、対策協事務 局の広島市都市交通部は「JRとの協議次第」とするものの、全体 の五〜九割の市負担は避けられないとみる。

 ただ、JR側の廃止検討が表面化して以来、電化問題は棚上げの まま。市とJRとの正式協議の場はまだ設けられていない。JR西 日本の近藤隆士広島支社は「電化延伸と存続問題は別もの」と、あ くまで試験増便の結果で存廃を判断する姿勢を崩していない。

 「まずはJRと同じテーブルに着くこと。それが第一」。市の高 井巌交通対策担当課長は、協議の行方に期待を込める。

 地元自治体はこれまで、乗客増に向け「パーク・アンド・ライ ド」にも取り組んできた。市は昨年七月、可部駅西口に約五十台分 の臨時駐車場を設置。休日には三段峡方面へ向かう観光客ら約三十 台の利用がある。加計町も、加計駅や殿賀駅など沿線の五駅に駐車 スペースを確保した。

 そして対策協は再生案に、自治体が鉄路を引き取って列車の運営 をJRに託す「公設民営」方式や、沿線が運行に補助金を出す公的 支援策の検討、さらに、仮に鉄路が廃止された場合も乗合バスを導 入する案を盛り込んだ。一方的にJRに存続を求めるだけでなく、 地元負担を伴う「現実策」を提起した形だ。

 便利な車を置いて列車に乗り換えるパーク・アンド・ライドは、 利用者に我慢を強いる。鉄路の維持も、可部―河戸間の電化延伸 も、地元負担は結局、住民の痛みにつながる。存続運動は住民に、 その「覚悟」を問い掛けてもいる。

(2002.4.5)

 

 1. 地域再生

 2. 沿線応援団

 3. 資源活用

 4. 「河戸電化」

 5. JRの姿勢

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