中国新聞

存続か廃止か JR可部線

可部線、再び試験増便 存廃判断先送り
― JR西日本方針 ―

 JR西日本は十八日、可部線可部―三段峡間(四六・二キロ)の 存廃問題について、最終判断を先送りし、試験増便を再び実施する 方針を固めた。二月中旬まで実施した試験増便で、予想を上回る乗 客があり、同社は「利用状況をさらに見極める必要がある」と判断 した。二十日に広島支社で開く可部線対策協議会(会長・秋葉忠利 広島市長)との会合で、期間などについて調整に入る。

 最初の試験増便は、昨年十一月から今年二月十二日までの百四日 間。輸送密度(一日一キロ当たりの平均乗客数)が、存廃の基準と した八百人に近づく七百五十人前後に上った。

 沿線の自治体は急きょ、試験増便の成果を踏まえた中長期の利用 促進プランを作成。「存廃の結論を急がず、鉄道を軸にした地域振 興策を協議してほしい」とJR側に申し入れていた。

 広島支社の仲井徹支社長は従来、二十日の会合で存廃の最終判断 を示すとしていた。この方針を一時保留。三カ月から一年程度の長 期間の試験増便に再び取り組み、恒常的な利用増加があるかどうか を見極める。

 同社幹部は「試験増便の乗客数が思った以上で、地元の存続運動 の盛り上がりに報いるためにも、長い目で利用状況を見極めたい」 と説明している。

 ●解説● 促進運動に与党も動く

 JR西日本が試験増便を再び実施する方針を固めた背景には、予 想を上回る利用客の増加を生んだ地元の促進運動の高まりと、赤字 ローカル線の廃止に歯止めをかける改正JR会社法案の成立に動く 政府・与党からの強い働き掛けがあった。

 昨秋からの試験増便で地元は、JR側が突き付けた「乗客倍増」 という存続ラインまであと一歩、というレベルまで利用客を押し上 げた。さらに、改正JR会社法案の内容に力を得て、地元と一体で 存続に動く国会議員の攻勢も、JRの譲歩を迫る結果を生んだ。

 しかし、「長い目で見極めたい」とするJR側の判断は一方で、 過疎にあえぐ地元に「消耗戦」を強いることも意味している。イベ ント開催費や運賃助成などが財政を圧迫する恐れも出てくる。

 地元に突きつけられた課題は、依然重い。一方でJRにも、長期 的なローカル線の再生に向け、地元と一体となって取り組む姿勢が 求められる。

(西村 文)

(2001.3.19)


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