中国新聞

可部線 三セク断念

【解説】代替交通 地域の視点で


 国や県の関与不可欠

 JR可部線可部―三段峡間の第三セクター化を沿線自治体が断念 したことで、鉄道存続の道は事実上絶たれた。JR西日本は今月末 までに国土交通省に廃止を届け出る。一年後には自動的に廃止とな る。

 過疎に歯止めのかからぬ沿線、厳しい財政、沿線五市町村でつく る可部線対策協議会の試算で四十年間、毎年続く三億円平均の赤字 …。自治体に負担する余力は残っていない。何より存続しても、大 幅な人口増など将来展望が描けないという。

 規制緩和の流れの中、路線廃止に国の許可を必要としない鉄道事 業法の改正、JR西日本の完全民営化、と一九九八年の廃止計画浮 上以来、存続には逆風が吹き続けた。

 住民には憤りとやり切れなさがくすぶる。「なぜ可部線なのか 」。当初からの疑問は解けないまま、突きつけられたのは「真っ先 に切り捨てられるのは過疎地」という現実。都市も田舎も同じ基準 をあてはめる規制緩和に「地域崩壊へつながる」という危機感も強 い。

 全通からわずか三十年余り。沿線住民は鉄道の公共的役割に期待 し、百年、二百年の地域の発展を願って土地を提供した。草刈りな ど維持管理も自主的に続けてきた。民営化されたからといって、そ の思いや国鉄から受け継いだ公共性は簡単に忘れ去られるべきでは ない。

 代替交通は、ただ単に並行路線にバスを走らせればいいというこ とにはならない。存続運動を通し、住民は鉄道を導線とした都市農 村交流による地域振興の大きな力を知った。代替交通を考えるうえ で、地域を走る過疎バスも含め広域的な交通体系整備や道路改良、 鉄道跡地の取り扱いなどの課題に加え、地域振興の視点が欠かせな い。

 沿線自治体は対策協を継続し連携を図る。JRも含め、代替交通 などについて議論する地元協議会の設置に向け、県に協力を求めて いる。

 同法は目的に「利用者の利益保護」「公共福祉の増進」などを掲 げる。法改正以後、JRとして全国で初めての廃止届けとなる。そ れだけに、沿線自治体や住民任せにせず、JRはもちろん国、県が 積極的に関与することが求められる。「切り捨て御免」では困る。

(西原 太)

(2002.11.23)


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