―見直し 自治体負担増も― 十一月末に廃止予定のJR可部線可部―三段峡間に代わるバスの運行計画が決まった。既存のバス路線に急行バスを加える新システムの導入が柱。公的補助を受けるための苦肉の策だが、沿線住民には運行ダイヤなどへの不満も残る。過疎、少子高齢化が進む地域で、新たな公共交通を確保することの難しさを示している。 (西原太)
JR線廃止は、鉄道事業参入、撤退を原則自由化した改正鉄道事業法の施行(二〇〇〇年三月)後初めて。同法に基づく代替交通確保を目的にした検討組織設置も前例がない。国や県、沿線自治体などで構成する可部線代替交通確保調整協議会は二十五日、代替バス二路線の運行計画を決めた。 補助金獲得知恵絞る 「特に在来バスとのすみ分けに、知恵が結実した」と座長の大口清一中国運輸局長。知恵とは、公的補助をめぐる解釈、運用上の工夫だった。 問題になったのは、代替バス二路線のうち国道191号の可部―三段峡間。現在、同じルートの在来バスが一日七・五往復走り、生活交通維持を目的にした国や県などの補助で赤字補てんを受けている。現行の補助制度では、在来、代替は「競合」と見なされ、輸送人員が補助基準を超えた場合、両者とも対象外になる可能性がある。 在来は補助を受けても年間二千万円余の赤字。改正鉄道事業法に、廃止後の代替交通への補助など支援策は無い。代替バス運行を引き受けた広島電鉄が当初、難色を示したほどリスクがある。 運輸局は「鉄道廃止という特殊事情」に着目し、頭をひねった。バス停を現在の駅舎相当数に絞る急行バスにすることで「鉄道廃止代替」という位置付けを明確化。在来とは別路線との解釈で、急行、在来とも補助対象に乗せたのだ。 「事業が成り立つのか疑問もあった。少なし既に路線がある場合、参入は難しい」と考えていた大田哲哉広電社長は「今回の措置は生活路線確保の前例になりうる」と評価する。 帰宅便2時間に1本 ただ、可部線の可部―三段峡間が一日五往復、可部―加計間では八往復なのに対し、急行の代替は三・五往復。午後四時以降、可部線下りは四便だが、代替バスは一便で、帰宅便が減少。在来と合わせても午後五時以降は二時間に一本となる。 「部活や会社勤めに影響する。住民の声を反映していない」。小河内駅(安佐北区)近くの小浜自治会長大場要さん(47)は見直しを求める。が、増便は沿線自治体の負担増につながる可能性もあり、現時点では、実現のめどは立っていない。 通学定期対策に苦慮 協議会は、鉄道利用者の約七割がバスに移行すると試算。「利用実態を踏まえ、便数やダイヤなど利便性の向上策を考えたい」(笹倉賢治・運輸局自動車交通部長)と説明する。逆に、利用者が少なければ減便の可能性さえある。 料金問題ものしかかる。佐々木清蔵加計町長は協議会で、鉄道の約二・五倍になるバスの通学定期代への「対策に苦慮している」と訴えた。 一括無償譲渡される見込みの線路跡地の活用法、これから検討に入る観光対策、代替バス運行に伴う地元フィーダーバスのダイヤ見直しなど課題は山積。沿線では、観光鉄道として存続させようとの運動も続く。 代替バスの運行開始は十二月一日。残された時間は少ない。規制緩和の流れにほんろうされた沿線は、鉄道が廃止される重みと痛みをあらためて突きつけられている。
(2003.9.1)
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