「可部線秋物語」

鮮やか 万華鏡を駆け抜ける
地図

 広島県北西部を水源にとする太田川に沿うように走るJR可部 線。秋は最もさわやかな季節。山と川に囲まれた沿線は多彩な表情 を見せる。今月初めからの冷え込みで冬の足音も聞こえ始めた。可 部(広島市安佐北区)―三段峡(広島県戸河内町)間四六・二キロ は、駆け足で秋色に染まっている。

 太田川の川霧から、鉄橋を渡る黄色のディーゼル車が浮かび上が る。日が昇るにつれ、立ち込めた霧は微妙に色を変えていく。川沿 いを走る可部線の早朝風景。やがて青空が顔を出す。

写真1「川霧」
川霧 早朝の鉄橋を渡る列車。霧と朝日の光が幻想的な雰囲気を醸し出す(上殿駅―筒賀駅間)

 冷え込みで紅葉も一気に下流へと下った。車窓からは、赤、黄… モザイク状の山々が目に入る。戸河内町の国特別名勝・三段峡には 紅葉狩りに多くの行楽客が繰り出す。加計駅周辺では、例年より一 週間も早く、多くの大イチョウが色付いた。新たな紅葉の名所とし て人気を呼ぶ温井ダムも今がピーク。ひっきりなしに行き交う行楽 客の目を楽しませている。

 線路沿いの民家の庭先には柿の実。十月から十一月にかけて、秋 祭りののぼりや吹き流しがはためき、神楽ばやしが、山々に吸い込 まれるように秋の夜長に響き渡った。

 利用促進で各駅に広がった「花の駅」づくり。コスモスやサルビ ア、オシロイバナなど、住民が育てた花が沿線に広がった。「潤い のある駅を」と加計町の津浪駅では、昨年に続き住民が線路沿いに まいたピンクのソバの花が風に揺らでいた。

(写真・福井宏史、文・西原太)

写真「柿の木」サムネール
柿の木
写真「ソバの花」サムネール
ソバの花

写真「吹き流し」サムネール
吹き流し
写真「紅葉」サムネール
紅葉
写真「大イチョウ」サムネール
大イチョウ

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