錦町と岩国市を結ぶ中国地方初の第三セクター鉄道「錦川鉄道」。赤字ローカル線だったJR岩日線が、沿線住民の熱意で「錦川清流線」として再出発し七月、十五周年を迎えた。利用者の減少が続くなど取り巻く状況は厳しい。一方で、高齢者や学生の交通機関として「地域鉄道」の役割は増しつつある。錦川の流れのように、清流線が走り続けるための課題を探った。(伊藤一亘)


 2.正 念 場  
車両更新 06年にも着手 −欠かせぬ自治体支援

 赤や緑、黄色の車体に、牛や鵜(う)など沿線自治体にちなんだユニークなキャラクターが躍る。車両基地でもある錦町広瀬の錦町駅。錦川清流線を支える列車の華やかさとは裏腹に、刻まれた歴史は車両更新の問題を浮上させた。

 錦川鉄道は開業時に新車で購入した五両と、一九八九年に導入したイベント列車の計六両で運行している。耐用年数二十年の車両は、それぞれ既に十五歳と十三歳。老朽化に備える時期に来た。

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錦町駅に並ぶ色とりどりの列車。更新・リニューアル時期を迎えつつある

 今年五月、沿線五市町村でつくる錦川鉄道対策連絡協議会の総会に一つの報告書が提出された。「錦川鉄道存続検討報告書」。各市町村の課長らに錦川鉄道、県などが加わる存続検討研究会が三年かけてまとめた。

 報告書が示した計画によると、六両のうち二両は新車に更新、三両は部品交換などでリニューアルする。残り一両は廃車にし、五両体制での運行へ移行する。二〇〇六年から順次着手する予定。錦川鉄道は来年二月までに国へ提出する近代化設備整備の計画書に盛り込むことを決めた。

 しかし、経営難の錦川鉄道にとって、最大の問題はその費用だ。

 更新には一車両で約一億円、リニューアルに約五千万円掛かるとされる。国の補助事業の鉄道軌道近代化設備整備事業を活用した場合、同社の負担は更新で三分の一、リニューアルは五分の三。負担額は、合計で約一億七千四百万円に上ると見込まれる。

 頼りは、約四億二千万円ある経営対策事業基金。だが、報告書は基金取り崩しで対応して鉄道経営を続けた場合、「二〇一〇年度に基金が枯渇する」と、経営が行き詰まる恐れを指摘する。このため、事前に同基金を積み増すなど、沿線自治体による直接支援を提案している。

 報告書はあくまで、清流線存続に向けた研究会の試案にすぎない。車両更新などは、錦川鉄道と沿線市町村で協議を進めることになる。

 錦川鉄道の社長を務める寺本隆宏・錦町長は「清流線の必要性を訴えるには、この二、三年の利用状況が大きく作用する」と、存続に向けて今が正念場だとみる。中国運輸局鉄道部の杉谷太久美・計画課長も「国の補助は地元が出すなら国も応援しましょう、という形。存続させようと思えば地元がしっかり利用してほしい」という。

 「自治体支援が困難となれば、鉄道廃止後を想定した代替輸送の検討が必要」。存続検討研究会の五月の報告書はこう結んでいる。

2002.8.7

「地域鉄道の行方 錦川清流線15周年」


 


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