錦町と岩国市を結ぶ中国地方初の第三セクター鉄道「錦川鉄道」。赤字ローカル線だったJR岩日線が、沿線住民の熱意で「錦川清流線」として再出発し七月、十五周年を迎えた。利用者の減少が続くなど取り巻く状況は厳しい。一方で、高齢者や学生の交通機関として「地域鉄道」の役割は増しつつある。錦川の流れのように、清流線が走り続けるための課題を探った。(伊藤一亘)


 4.起 爆 剤  
廃線活用 華やか遊覧車 −活性化へ多彩な試み

 錦川清流線の錦町駅は七夕の七月七日、華やいだ。遊覧車「きららトレイン」の運行開始式。「清流線に大きな魅力が加わる。乗客増につながることを期待している」。沿線五市町村でつくる錦川鉄道対策連絡協議会の会長、井原勝介岩国市長があいさつに願いを込めた。

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運行を始めたカラフルな遊覧車。清流線の利用促進へ期待がかかる

 遊覧車は、完成目前で廃線となった岩日北線(錦町−島根県六日市町)の跡地を走る。錦町駅から同町深川の雙津(そうづ)峡温泉までの約六キロ。土、日と祝日に運行し、学校が夏休みの今は、毎日走る。家族連れなどが連日利用する順調な滑り出しで、にぎわいが続く。

 昨年夏の山口きらら博で人気を集めた車両を導入。町の委託を受けて錦川鉄道が運行する。清流線と遊覧車。錦町駅を発着点とする二つの「トレイン」の連携で、利用者減に悩む清流線の魅力アップを狙う。

 一日三往復の便は、いずれも錦町駅で清流線の列車と接続するダイヤに設定。料金も清流線利用者は一般利用者に比べ二割引にするなど、一体感を演出する。

 錦町も、雙津峡温泉一帯の整備に力を入れる。労働福祉事業団が三月末で閉鎖した宿泊施設「錦グリーンパレス」を購入。遊覧車の運行開始と同時に再オープンさせ、入浴客などの受け入れを始めた。食堂や宿泊機能の早期再開も目指す。終点の魅力アップで、清流線を支える。

 錦川鉄道の社長でもある寺本隆宏・錦町長は「遊覧車の運行は、清流線に必ず効果が出る。受け入れ体制の整備は急務だ」と語る。

 錦川と並行して走る鉄路ならでは、の試みも進む。訪れる多数のカヌー愛好家に注目。列車にカヌーを積んで上流に移動してもらおうと、今春試験的に実施した「カヌー列車」もその一つだ。さらに、清流を見下ろす美しい車窓風景を取り戻そうと、視界の一部をさえぎる雑木の伐採に、沿線市町村の協力でこの秋から取り組む。

 岩日線存続運動時から続くホタル列車などのイベント列車。一九九九年に錦町中心商店街が各店の特色を生かして始めた「まちぐるみ博物館」。清流線の利用促進策には、交流人口を増やそうと沿線住民らも参加してきた。

 レジャー施設「清流砦(とりで)」は、錦川鉄道の開業翌年にオープンした。手掛ける錦町観光協会の松原一誠会長(58)は「清流線の活性化は錦町の活性化そのもの。遊覧車は、清流線をアピールする起爆剤になる」と期待する。

2002.8.9

「地域鉄道の行方 錦川清流線15周年」


 


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