中国新聞


 46年目を迎えた福山市の「ばらのまち」づくり。今、そして未来像を考える。
(杉本喜信)

(6月17日〜21日まで「中国新聞備後」一面に連載されました。)





1. 拡大競争

 ■市民参加こそ何よりの個性■

5月に開園した緑町公園のばら花壇。六角形のユニークな形をしている

 「各地に大規模バラ園ができている中、福山では…」。先月八日 にあった福山市の緑町公園ばら花壇のしゅん工式。福山ばら会の小 林幹弥会長のあいさつが、市関係者をハラハラさせた。

 ばら花壇は苗二千株にの市民オーナーを導入。七百五人・団体が 一株二千円を負担して植樹した。「日本中に誇りうる市民参加のバ ラ園」(三好章市長)だが、百九十種、五千株の規模は全国レベル では珍しくない。

 市公園緑地課などは、日本ばら会専門委員でもある小林会長が規 模に触れるのを心配した。「比べられたらたまらない。お祝いムー ドにも水を差す」というわけだ。

 確かに最近、競い合うかのように大規模バラ園が各地にできてい る。一九九六年に開園した岐阜県可児市の花フェスタ記念公園は三 ・四ヘクタールに千六百種、四万一千株。品種も株数も緑町公園の ほぼ八倍だ。管理する岐阜県の外郭団体は、四年以内に七千種に増 やし、品種数世界一にする構想を練る。

 九四年に鹿児島県鹿屋市が開設した霧島ケ丘公園は、三年後をめ どに現状の倍の三千種、四万株に拡張する計画。同公園の門倉美博 所長は「バラはどの花より人を呼び寄せる力が強い。自治体のバラ 園は規模拡大競争に入った」と話す。

 特徴も問われる。この四月、静岡県河津町が造ったバラ園は、世 界的に名高いパリのバガテルバラ園と提携。温室なども再現し、フ ランス文化を売り物にする。

 「ばらのまち」を名乗る福山は、どう個性を発揮していくのか。 市内のバラは現在約四十五万株(市推定)。「世界と日本のローズ ガーデン」の著書がある英国バラ会終身会員の亀山寧さん(70)=京 都市=は「多くの市民が栽培している点こそ他都市がまねできない 特徴。世界にも誇れる。バラを通じたもてなしを工夫すればいい」 と助言する。

 ばら花壇しゅん工式で、小林会長は結局、バラ園の規模に触れな かった。「福山では、手入れの行き届いたバラ園が入場無料。全国 的にも珍しい」と続け、「バラを愛する心は人を思いやる心につな がる」と結んだ。