一昨年四月、JR尾道駅前に、漫画キャラクターの石像が完成し
た。元は、かわぐちが描いた絵はがきだった
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かわぐち・かいじ
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48年 |
尾道市生まれ |
67年 |
尾道北高を卒業後、明治大に入学 |
87年 |
「アクター」で第11回講談社漫画賞受賞 |
90年 |
「沈黙の艦隊」で第14回講談社漫画賞受賞 |
02年 |
「ジパング」で第26回講談社漫画賞受賞(3回目、28日に
赤坂プリンスホテルで授賞式) |
地元で会社を経営する傍ら、漫画も続けている双子の弟と、尾道
の春夏秋冬をテーマに、描くことになった。キャラクターに男女を
一人ずつ入れるなど、企画段階から加わった。アピールしたかった
のは、現代の尾道と、子どものころから感じていた尾道。両方の良
さをミックスしてこそ、初めて尾道になるから。
兄弟としては初の合作。それぞれが季節ごとに、男と女を分担し
た。当初は、備後地方だけの発売だったが、その後全国展開になっ
た。尾道市制百年記念で、大理石を使った像も、町のシンボルにな
ればと思った。
処女作から既に三十五年。累計二千七百万部を売り上げる「沈黙の
艦隊」など作品には、海軍だった父や、尾道そのものが影響を与え
る
父は海軍で、掃海艇で機雷を除去していた。戦争の悲惨さだけで
なく、青春時代をどう過ごし、どんな時代だったかを話してくれ
た。その後の作品のベースになっている。「ジパング」では、太平
洋戦争時が舞台で、経験しないと分からないので、父に電話で聞い
た。
「沈黙の艦隊」の時には、逆に父から「次のストーリーは」と聞
かれ、「まだ考えていない」と言うと、南極に艦隊を持って行っ
て、ペンギンと遊ばせたらと、アイデアをくれた。ほとんど使い物
にはならなかったけれど。その父も、今年亡くなってしまった。
古里・尾道と東京を比較する上で、「匿名性」がポイントになる、
とかわぐちは語る
東京では、地理的には手の内にあるとは思えない。メトロポリス
の一部という感覚だ。この東京の匿名性は、自由さの半面、逆に寂
寥(せきりょう)感、不安感もある。尾道にあるのが生活感で、こ
れから大切になってくる。
今後、社会の流れは二つに分かれそう。実体はないけれどバーチ
ャルで体験したものと、実体あるもの。僕の場合は、一日、二、三
回の散歩を欠かせない。アイデアを考えながらだけど、この作業
で、心の調和を取っている感じかな。
「沈黙の艦隊」が世に出たのは、東西冷戦さなか。その後、かわぐ
ちの作品を追うかのように、時代は移り変わった
今は、米の覇権主義を冷静に見直す時期に来ているのかもしれな
い。日本も西側に属して、米と共同で冷戦構造を支えていた。米は
本当に日本を必要とするのか。同じアジアの中国が強大になってい
る。アジアともどう向き合うべきなのか。今までは一員でよかった
けど、きちんと向かいあわなければならない。いろいろな面でね。
かわぐちは言う。「今、最も興味があるのは小泉改革の行方だ」
個人的には、有事法制への対応は、きちんとすべきだ。米とも対
等の国家を目指す上で、独自のものを準備しておく必要がある。今
の「ジパング」も、根底にあるのは、日本の自立だ。小泉純一郎と
いう人間を、どう評価するかによって、「ジパング」など、今後の
漫画の展開も変わる。口先だけなのか、実体のあるものなのかによ
って。
(藤井礼士)=第1部おわり=
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