中国新聞
(2002.1.13)

浜田省吾 旅の終わりに
 
会場満たした「幸福」感
 
広島コンサート


 7000人で埋まった会場を満たしていたのは、感動や熱気より、同 時代を共に生きている「幸福」感だと思う。浜田省吾が故郷・広島 で飾った、4年越しのツアーの最終ステージ。一つひとつの歌に、 聴衆が自分の思い出や生き方を再確認する、そんな空間だった。

(2001年12月29日、広島グリーンアリーナ)

Photo
4年越しのツアーを広島で締めくくった浜田省吾

 1998年4月、埼玉でスタートした「ON THE ROA D」ツアー。世紀を超え、全国の100会場余りを巡った壮大な旅は、 広島での3日間の公演でついに幕を閉じる。最終に当たるこの日 は、浜田の49歳の誕生日でもあった。

 黒のTシャツにジーンズ姿。ひたむきな人格を結晶させたような 歌声。デビューから26年目の2001年に発表した「青空」か ら歌い始めた浜田は、変わらず、古びず、年齢を超越した存在とし てステージにいた。

 圧巻は、叙情的なコーラスで「彼女」を聴かせた後、力感みなぎ る「A NEW STYLE WAR」になだれ込んだ転換の妙。 この落差を違和感なく越える技量は、驚きというほかはない。その 声量も、ピアノや弦楽アンサンブルまで従えた重厚な演奏に、一度 として埋没しなかった。

 客席には3、40代のカップルが多い。思い出のアルバムをめく るように、あるいは、見失いかけた生き方の指針を探すように、浜 田の歌に身をゆだねる。テレビ番組やCMとタイアップし、すぐに 忘れ去られる最近のヒット曲に比べ、何と幸せな歌のあり方だろ う。

 アンコール。客席中央のサブステージに軽々と跳び乗って、デビ ュー曲「路地裏の少年」を歌う浜田がいた。再度のアンコール。メ ーンステージに戻り、名曲「ミッドナイト・ブルートレイン」を歌 う浜田がいた。開演から4時間が過ぎていた。

(道面雅量)



BACK