上関原発の20年目の着手
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2001/5/20
町づくり 「交付金頼り」強い反発


 「これでやっと、町づくりが動き出す。原発が出来て良かったなと思える町にしなくちゃいかん」。中国電力上関原発1、2号機の事業着手が決まった十六日、山口県上関町の片山秀行町長は力を込めた。

 ひたすら誘致に尽力

上関原発の事業着手決定に抗議し、山口県庁前で座り込む反対派住民ら(16日、山口市)
 原発構想が持ち上がった直後の一九八三年、片山町長は「原発誘致による豊かな町づくり」を掲げて初当選した。五期十八年、ひたすら「誘致」の実現に追われてきた。九五年にまとめた町総合計画で、二十一世紀の町づくりプランを示してはいる。しかし、財源はほとんど原発頼み。立地スケジュールの遅れで、過疎高齢化からの再生は一歩も進んでいない。

 「まず原発ありきで、町づくりはおざなりになっていた」。原発誘致に協力してきた推進派町民からも批判の声は漏れてくる。

 「国の計画に載ったことで、これからは思い切った手を打っていく」と片山町長。町づくりに向けた調査、研究費を本年度予算に追加計上。財源に見通しが立てば、来年度にも各種事業をスタートさせる考えだ。

 しかし、事業着手が決まったとはいえ、町財政が一気に潤う訳ではない。国からの「厚い手当て」の中心となる電源立地促進対策交付金(一基当たり七十二億円)は、着工しなければ交付されない仕組みだ。

 着工へ高いハードル

 上関1号機の着工予定は二〇〇七年度。「建設が確実ならば先行投資も可能だ。中電にも、それなりの支援を求める」と片山町長。ただ、町が期待する「着工」にむけたハードルも高い。

 1号機の原子炉など主要施設の予定地には、未取得の神社地約十ヘクタールが残っている。売却を求める地元の推進派住民(氏子)に、宮司が反対。氏子らは宮司の解任を神社本庁に求めるなど異例の事態が続いている。

 山口県の二井関成知事も立地には同意したものの、円満な解決がなければ、県が権限を持つ公有水面の埋め立てなどを認めない姿勢だ。

 補償契約無効を提訴 

 さらに、原発予定地沖約四キロの瀬戸内海に浮かぶ同町祝島では、島ぐるみの反対が構想の表面化からずっと続いたまま。予定地周辺に主要な漁場を持つ祝島漁協は、中電と他の推進七漁協が合意した漁業補償契約の無効を求め係争中。直接権利を持つ漁協の反対を押し切って原発立地が進んだケースはない。

 「目の前にできる原発に苦しむ島民の気持ちを無視しないで」―。計画が了承された十六日、祝島島民百人は山口市の県庁に詰め掛けた。十九年間に及ぶ祝島の反対は、二井知事の意見書にも、電源開発分科会でも取り上げられなかった。

 「町と島を愛するからこそ、原発に頼らない、自立した町づくりが必要だ」と祝島漁協の山戸貞夫組合長。「土地、海など地元合意は置き去りにされたまま。反対の輪を広げ、必ず建設を阻止する」。原発をめぐる住民対立は埋められぬまま二十年目を迎える。

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