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第3部 模索

【4】最高学府 読書のイロハ 学生に教える '08/5/1

▽広がる「4年100冊」運動

 何を読めばいいのか。どう読めばいいのか。読書の「イロハ」を教える時代になった。それも小学校や中学校ではない。大学での話である。

 広島修道大(広島市安佐南区)の法学部国際政治学科は二〇〇三年から、教員推薦の本のリストを新入生に配布。今春は社会、国際問題などの八十七冊を紹介した。読書法を説くハウツー本をはじめ、平易な入門書がほとんどだ。

 配布を提案したのは元学長の市川太一教授(60)。〇二年、学長から六年ぶりに教壇へ戻り、学生気質に色を失った。いちいち指示しないと課題のリポートを提出しなかったり、ゼミ合宿を「ドタキャン」したり…。学生の学ぶ意欲を高める処方せんの一つだった。

 「本の読み方は自分で身につけるものだった。しかし、今の学生は細かく指導しないと…」と市川教授。大学・短大への進学率が50%を超える「大学全入時代」。読書と縁遠い学生が増えたのを肌で感じる。 論理構成力養う

 インターネットの普及など、メディアの多様化も学生が本を読まなくなった背景、とみる。「確かにネットは情報を瞬時に探せる。でも、じっくり考え、論理を構成する力が弱くなっているのは事実。それを養うのが読書だ」

 学生の読書離れは著しい。中国新聞社の読書世論調査では、一カ月に一冊も読まない学生が三割もいた。「忙しくて読む時間がない」「読みたい本がない」などが理由。そんな風潮に抗し、今、全国の大学で「読書推進運動」が広がっている。

 「四年間で百冊読もう!」。大学生協が呼び掛ける「読書マラソン」はその一つ。本の評価、コメントを学生自身がカードに書き、生協の書店に張り出して紹介し合う。読んだ冊数に応じ景品を出す大学生協も。〇三年から始まり、東京大など約百十の生協が取り組む。 寸評募集に200通

 山口大生協(山口市)では〇四年から四百人以上が参加。十冊読めば五百円の割引券がサービスだ。〇七年からは学生が中心になり、活動を拡大。昨秋はコメントの面白さを競う「さらり☆コメント大賞」も企画し、二百通を超す応募から二十六人を表彰した。

 主催の学生サークル「よんでみーや♪」代表の三年小田佳菜恵さん(20)は「めったに本の話題にならないですね。でもこの企画で、少しはいろんなジャンルの本を知らせることができたのかな」。

 「本なんて面倒。嫌いだった」とはメンバーの二年中塚友規(とものり)さん(19)。授業で使う専門書が理解できず、必要に迫られ、初歩からの入門書を買い求めるように。何となく読書になじむようになった。今では一週間に一冊のペース。関心ある科学系の本を読み進める。「カードを参考に読む幅を広げたい」

 「学生の読書傾向は、その食生活と同じで偏ってますね」。同生協で書籍担当の原田幸美子(ゆみこ)さん(44)は話す。ただ、処方せんはある、とみる。同じ学生が紹介する本には食いつきがいいのだ。同年代をつなぐ共感や親しみこそ読書への導線になる、と期待する。

 割引サービス目当てにマラソンに参加する学生もいる。「動機は何でもいい。本を読む習慣が身に付き、その喜びを知ってもらえれば」と原田さん。集まったコメントカードは六千枚。さらに増えることを願っている。(岩崎秀史)

【写真説明】山口大生協の「読書マラソン」コーナーで、コメントカードを見る「よんでみーや♪」のメンバーら

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