■公共事業削減 過疎の周防大橋 工事中止
 あえぐ業者
 

 ▼「死に至る痛み困る」

 山口県の周防大島四町を周回する農水省直轄の広域農道は、大島 町家房地区で「進入禁止」の看板に出くわす。計画総延長は五四キ ロ。昨年十一月、完成までわずか二・五キロを残して工事中止とな った現場だ。

 「まさか自分のところに影響が出るとは考えもしなかった」。橘 町の建設業、ユタカ工業の社長迫田輝男さん(41)は残念がる。この 工事で、ここ数年、毎年一億五千万円前後を受注。売り上げの七分 の一を失った。

 ▼売り上げ半減

 政府・与党が鳴り物入りで打ち出した公共工事の見直しで、広域 農道最後の工区「大島第二地区」一三・三七キロが対象になった。 一九七四年、総事業費百二十五億円で着工し、昨年度の事業費は四 億円だった。

 迫田さんは郡内の公共工事の減少を見込み、ここ二、三年で三十 人の従業員のうち六人を解雇、下請け受注も拡大してきたが、「岩 国など郡外の下請けの受注も増やさないといけない」と言う。

 「幸いうちは工事が済んでいたが、とても人ごとではない」。工 事中断は東和町の同業者、白木産業の社長迫田一弥さん(45)にもシ ョックだった。創業三十九年の会社を昨年、父から受け継いだばか り。バブル期の十年前、二十八億円あった売り上げは十三億円に落 ち込んでいる。先行きの不安はぬぐえない。

 大島から見れば「垂ぜんの的」というのが、総事業費約千六百億 円の米軍岩国基地滑走路沖合移設事業だ。しかし、地元岩国市の業 者は「大手ゼネコンに押され参入が難しい」と嘆く。岩国商工会議 所会員の建設業約四百三十社のうち、移設事業工事の受注は十社に 届かないという。

 昨年九月、負債二十六億円を抱えて島内最大手、久賀町の新和建 設が民事再生法の適用を申請し、地場建設業界に波紋が広がった。 今年二月、再生計画が認可されたものの「次はどこか」といった声 も聞こえる。

 ▼不安追い打ち

 地場建設業者の不安に今、小泉内閣が打ち出した公共事業の削減 策が追い打ちかける。それでも一票は自民党に託すしかないという 迫田一弥さん。だが「傷みは覚悟するが、死に至る痛みは困る」と の思いである。

 人口二万三千人の四町の普通建設事業費は昨年度、七十億円余 り。同規模自治体に比べる突出している。建設会社は八十社近く、 六百〜千人の雇用を吸収。公共事業が人口減の一定の歯止めになっ てきたのも事実だ。

 公共事業の恩恵は、選挙区の岸信介・佐藤栄作の両元首相時代以 来と言われる。族議員の温床として風当たりが強くなった公共事業 だが、大島町の河野洋治町長は「公共事業がすべて悪者ではない。 道路にしても地方はまだ遅れている。住民にとって何が必要か見極 めて政策を考えてもらいたい」とクギを刺す。

「改革選挙」と地方

2001/7/19

完成間近で工事が中止された周防大島の広域農道