■グローバル化 備後の産地直撃 増える輸入
 細る縫製業
 

  ●地域経済 崩壊を危ぐ

 「寂しげな光景でしょう。業界の現状をよく表している」。福山 市駅家町、小畑被服の小畑裕司社長(59)は、電動ミシンが並ぶ広さ 約千平方メートルの作業場を見渡した。縫い手の女性より空間の方 が目立つ。

 一九五一年の創業。下請けでカジュアルパンツの生産を手掛け る。ピークの九〇年前後に三億円以上だった売り上げは今、三分の 一。外注を含め百人以上いた従事者も半減した。「ここ十年、アパ レル業界は海外生産がどんどん進んだ。気が付くと細るだけ細って いた」と振り返る。

 ▼受注開拓に奔走

 若い戦力を、と中国人研修生も受け入れて十一年。受注先の開拓 にも奔走した。昨年十月、全従業員に退職金を支払い、希望者を再 雇用して人件費を圧縮した。それでも経営環境は厳しい。

 ユニクロに象徴される安い繊維製品の輸入攻勢に「このままでは 地域の経済も崩壊する」と昨年十二月、備後地方の同業者約二十人 と、セーフガード(緊急輸入制限)実現などを求めて「国内縫製業 を守る会」を結成した。だが、生産を海外に移して、製品を逆輸入 している企業との意見の違いもあり、申請には至っていない。

 「いろいろ試みたが、私には海外移転はできなかった。地場企業 は地元といろんなしがらみを持っている。もうからないから、サヨ ウナラとは言えない」と駅家町商工会繊維工業部会長でもある小畑 社長。

 小畑被服も加入する広島県被服工業協同組合(百五十社)による と、生産基地の海外移転はバブル景気がきっかけだった。国内の人 件費の上昇で労働力が不足し、安い人件費を求めて中国などへの進 出が加速した。

 現在、ワーキングウエアやカジュアルの七、八割は海外生産だ。 「その分、地元下請け業者がしわ寄せを受けている」と佐藤八郎専 務理事(56)は説明する。

 ▼10年で80社減る

 繊維業界に詳しい調査会社、信用交換所福山支社のデーターによ ると、備後と岡山県西部地域のアパレル業者は九一年に三百二十社 だったのが昨年三月現在、二百四十社。四分の一の八十社が姿を消 している。

 海外進出企業同士の競争も激化している。大手で、海外生産比率 七八%の自重堂(広島県新市町)の出原正博専務(47)は「デフレを 前提にした経営を模索している」と口元を引き締める。

 グローバル化を加速する小泉構造改革。業界には不安の声もあ る。「ただ、自助自立の気概がないと、生き延びていけない」と広 島県被服工業協同組合の出原誠三理事長(65)は言い切る。

 小畑社長も「うちででしかできない商品を開発し、苦境を乗り切 りたい」としながらも、「あらかじめ輸入割り当て枠を設けるなど 秩序あるグローバル化を進めないと、日本の製造業はやっていけな くなる」と憂慮している。

「改革選挙」と地方

2001/7/20

海外製品に押され創業率が落ちている法制工場(福山市)