| ■不良債権処理 |
政府の強化方針中小企業に不安 |
 |
●「地域痛む」地銀も警戒
「多大なご迷惑をかけた債権者に少しでも返せるよう頑張りた い」。呉市の中堅飲料メーカー、オーパイの尾崎信次社長(41)は再 建への思いを語る一方、「社員に『大丈夫』としか言えず、心苦し かった」という経営危機の日々を思う。
▼「懸念先」査定
会社は、年間売上高に相当する約百二十億円の借入金を抱え、三 年間に金融機関から「破たん懸念先」の査定を受けた。元本返済猶
予は認められたが、もう追加支援は受けられない。
昨年十月、とうとう夏場の原材料仕入れて振り出した四ヵ月の手 形が落とせなくなった。負債約百億円。民事再生法の適用を申請し て十ヵ月。先月二十七日、金融機関の債権を九割カットする再生計 画が広島地裁で認められたばかりである。
今、社員はピークの三分の一の八十人に削減。工場は多額の設備 投資で破たんの原因ともなった月夜野工場(群馬県月夜野町)だけ
を残し、大手飲料メーカーの下請けで、ペットボトルの充てん作業 を続ける。
▼「いつ整理…」
小泉内閣が「経済再生の第一歩」と位置づける二〜三年以内の不 良債権の最終処理。企業の安全度の分類で「破たん先」「実質破た
ん先」を対象にしていた処理を、オーパイのような「破たん懸念 先」のグレーゾーンまで広げ、経済の不安材料の一掃を狙う。
その方針に中国地方の地場銀行は「都銀だけでなく、地銀や信 金、信組などにも当てはめられたら大変なことになる」と警戒す
る。貸し出しの大半を占める中小企業の倒産を多発させかねないか らだ。
敏感に反応しているのは当の中小企業。「マツダの販売不振で受 注が年々減り、赤字続き。銀行が債権回収に乗り出したら、いつか
整理の対象にされるかもしれない」。東広島市で自動車部品メーカ ー経営者(59)は不安を漏らした。
せとうち銀行(呉市)の三浦昭夫専務(59)は「最終処理の方針が 出されて以来、うちは大丈夫だろうか、と取引先から支店などに問 い合わせが来た」と打ち明ける。
▼具体策見えず
広島銀行(広島市中区)は今月から、取引企業のランク付けをす る年二回の自己査定作業をスタートさせた。「破たん懸念先」以下 の不良債権は今年三月期では約八百七十億円。それが査定次第で動 く。融資担当の高橋佑矢常務(57)は政府方針への疑問がぬぐえな い。
「生きている企業を無理やりつぶせば、地域が痛む。それでどう して景気が良くなるのか説明されていない。都銀はともかく、地域
の企業を育てる立場の地銀には強行な手段は取れない」。
トップの見方も同じ。高橋正頭取(62)は「二〜三年内で処理しろ というのは、われわれから言えば暴論だと思う」。中国銀行(岡山
市)の永島旭頭取(61)も「地場企業の破たんの引き金をひくような 行為には慎重にならざるを得ない」。改革の具体策がいまだ見えな
いまま、地方に疑心暗鬼が広がっている。
| 目光紀、中田雅博、宮田俊範、藤井礼士、伊藤敬子が担当しました。 |
|
2001/7/26
 |
| 取引企業の査定業務に追われる銀行の審査部門 (広島市中区の 広島銀行本店 |
|