■国・県の「強制」に反発
益田市の大型商業施設の駐車場は平日でも、山口ナンバーの車が
目立つ。田万川町中心部から県境を越え、車で約二十分。町役場近
くの印刷業藤井由美子さん(73)は「萩までは一時間。買い物はいつ
も益田。車の少なかった時代からそうだった」と話す。
県北東部の田万川町と須佐町。県は昨年十二月にまとめた合併パ
ターンで、両町を萩市と広域圏を形成する地域とした。しかし地元
では「生活実態に合っていない」と不評だ。むしろ「何も得はな
い」と合併自体に反対する声が強い。
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田万川町と益田市を結ぶ国道191号。地域住民に
「県境意識」はない |
両町と益田市のつながりは深い。急患が運ばれるのは同市の総合
病院。田万川町の中学生は三分の二が益田市の高校に通う。
両町は六月、合併のメリット、デメリットなどを調査するため合併
調査研究会を設置。県の意向にかかわらず、県境を越えた合併に重
点を置き、将来像を探ることにしている。
益田市側も「昔から両町とは生活圏ができあがっている。合併調
査の要請があれば拒否しない」(石本建二総務課長)との姿勢だ。
もともと両町には「合併は地方交付税を削減するための口実で、
地方切り捨てにほかならない」(野稲保男田万川町長)と、国など
への反発がある。
田万川町の本年度一般会計予算は約三十一億円で、収入の半分は
地方交付税で賄う。須佐町も約二十八億円のうち、同税が六割を占
める。財政状況は厳しく、国に頼らざるを得ないのも現実だ。
住民運動にかかわってきた無所属の藤井郁子・田万川町議は「東
京一極集中など、今まで真に地方を育てる政策はなかった。政策の
失敗を棚上げして、中央のお荷物になったから合併せよ、というの
は本末転倒」と言い切る。「国会議員や官僚の削減など、先に手を
付けることがあるはず」とも。
構造改革には、地方の自立が盛り込まれた。田万川町総務課の野
稲武一課長は「自立をうたい文句に、それぞれで財源を確保せよと
いうが、あてなどない」と漏らす。須佐町企画課の中尾政信課長は
「情報基盤の整備や広域連合を経てから合併、というのが筋。人口
が三十万人を越すような合併でないと、スケールメリットは期待で
きない」と疑問視する。
六月の合併調査研究会で、国や県が強制する合併に反対を唱え
た、野稲町長。「県境を越えた大合併を認めたり、道州制導入を掲
げるなど、政治家はもっと大局的な政策を示すべきだ」と注文を付
ける。
(01.07.17)