中国新聞

 
  構造改革の中で 参院選山口2001

5.医療・福祉
 負担増 お年寄り不安


■島内の医師減も深刻

 東和町和田の集会施設に、お年寄りの元気な歌声が響いていた。 炭坑節の替え歌「ぼけない小唄」。カードゲームやおしゃべりで過 ごす「ふれあいサロン」には、この日も二十二人が集まった。毎週 火曜日の楽しい集いは今年で五年を迎える。

保健婦と話し込むお年寄り。健康への関心はひときわ高い (東和町和田)

 お年寄りは、いずれも八十歳前後。元気そうに見えるが、ほぼ全 員が月に何回かは病院へ通う。この日も施設に顔を出した保健婦 に、あれこれ相談する光景が目立った。七夕飾りには「いつまでも 元気で」と願う短冊がずらり。自らの健康への関心は、やはり高 い。

 家族でミカンを今も二ヘクタールほど栽培する浜広冨子さん(88) は月に二度、近くの出張診療所でコレステロール値を下げる薬を受 け取る。体の不調を感じることは少ないが「まあ、この年まで生き るとどこかちょっとは悪うなる」。通院は健康管理にもつながると みる。

 こうしたお年寄りの医療費は全国で、年間十一兆円(一九九九年 度)に上る。全体の三分の一を占め、増加率は国民所得の伸びをは るかに上回る。この医療費を抑制する新たな枠組みの構築が、構造 改革の大きな柱の一つに掲げられている。

 山西兼繁さん(82)は小泉首相の「改革」が気に入っている。年金 とミカンで食べる生活は楽ではない。だが、「自分たちも我慢しな いと…。改革は将来のためには必要」と理解を示す。

 三年前に吐血し、今も投薬治療が欠かせないという鍵福奈津子さ ん(79)は「わずかな年金で暮らしている。負担増はやはりつらい 」。十月から全額徴収が始まる介護保険料にも気をもむ。

 過疎高齢化が進む周防大島では医師の高齢化も進む。この二年間 で三人が亡くなり、二医院が廃業した。二十五年前に二十四人いた 開業医はすでに十人足らず。お年寄りたちは医師に敬意を表す一方 で、島内の医療体制の維持にも漠然とした不安も抱く。

 高齢者医療費抑制の具体的な道筋はまだはっきりしない。だが、 世代間の負担割合の見直しという議論の行き着く先は、お年寄りへ の新たな負担増の可能性が高い。何人もが口にした。「難しい問題 はわしらにゃよう分からん。だけど、政治がなんとか解決してはく れまいか」。改革に伴う「痛み」にお年寄りも揺れる。

(おわり)

瀬山茂昭、西山文男、小林正明、渡辺拓道、吉村時彦が担当しました


(01.07.21)




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