にしだ・てるお
大阪府生まれ
▽71年、大阪大医学部卒▽77年、大阪大医学博士号取得▽80年、大阪大医学部医員▽93年、山口大医学部教授▽01年、カストロビエホ賞▽08年、山口大大学院医学系研究科長
角膜損傷に有効な治療法開発
西田 輝夫氏 (61)
=宇部市
患者のため 信念貫く
眼球の表面にある透明な角膜。光を取り込み、網膜に焦点を結ぶ機能を担う。その角膜の上皮細胞が傷つき元に戻らない病気の治療法開発を、30年以上続ける。患者は年間数千人。流行より誰も手を付けない研究を重視する。「流れに沿って歩くな、河を渡れ」との恩師の教えを胸に、挑む姿勢を忘れない。
傷ついた上皮に血液中のタンパク質の一種「フィブロネクチン」が有用な点を世界で初めて発見。1983年、患者の血液から精製した点眼薬で治療に成功し、98年には神経伝達因子と成長因子を合わせた点眼薬で、神経まひ性角膜症を治療した。
これらの成果で2001年、角膜研究の最高峰「カストロビエホ賞」を受賞。日本人として19年ぶり、2人目の快挙だった。「ちゃんと仕事をしていれば見てくれる人がいる。うれしかった」
内科医の3代目。型通り医院を継ぐはずが、面白いことへの探求心が別の道を歩ませた。大阪大医学部を卒業後、国内外で基礎医学を9年間学ぶ。「遅れて入った」と言う臨床。「経験を眼科で応用できれば、9年は無駄ではない」と奮起し、研究成果を治療や診断に結び付けた。
山口大医学部に赴任し15年。教室の理念は「山口から世界の眼科学へ、最良の医療を山口へ」。世界のどこかで治せるなら山口でも、と努力し、治らないなら挑戦する。
市民講座やアイバンク活動と、学外でも積極的だ。定年までに「角膜治療のあらゆるこつ、僕の哲学を次代に伝える教科書らしきものを書きたい」。貫く思いは「すべては患者のために」だ。(高橋清子)