受賞者の業績と横顔  中国新聞社会事業団(山本治朗理事長)が、長年にわたって中国地方で社会福祉事業に功績のあった人に贈る「第44回中国社会事業功労賞」の受賞者が決まった。受賞するのは広島2人、山口、岡山、鳥取、島根各1人の計6人。高齢者福祉、母子家庭支援、身寄りのない子どもたちの養護などで多大な貢献をした人たちだ。それぞれに歩みを語ってもらった。表彰式は27日午後1時半から広島市南区比治山本町の南区民文化センターで行われる。


  巣立った子どもは2000人  

児童養護施設「広島新生学園」
保育士主任
上栗 和子さん(81)
東広島市西条町田口
 原爆孤児、引き揚げ孤児、そして今は家庭で虐待を受けた子ども・・・。五十三年間の学園勤務で約二千人の「母親」を務めた。

 「やりたいことを続られて幸せ。賞なんて恥ずかしい」。受賞は一九八一(昭和五十六)年の、前園長で夫の頼登さん(九五年、七十六歳で死去)に続いて。

 高等師範学校を卒業後、皇族の保育係候補になったが、「恵まれない人の力に」と名古屋市内の極貧地区での保育所勤務を選ぶ。広島県会議員を務め、弱者の支援を続けた父、竹内利太郎さん(四三年、七十六歳で死去)の影響もあった。その地域で接する住民が、日々の生活に追われる中、時折り見せる屈託のない笑顔。福祉に魅力を感じ、結婚一年前の四五年十月から、広島市で学園を開設した頼登さんを手伝い始めた。

 戦争で親を失い、街をさまよう子どもたちを園に連れてくる毎日。「園を抜け出して毛布を売って暮らす子もいた。でも盗みをするよりまし。そんな子ども一人ひとりが思い出です」

 現在も保育士や栄養士らを指導、園児六十七人の面倒を見る。「子どもたちの視線で接し、可能性を見つければ、個性を伸ばすことができると思います」

 三男の母。三人とも「園は継がない」と言っていたが、今では最大の理解者。長男哲男さん(50)が園長、三男明男さん(45)が副園長だ。

 「息子には『邪魔になったら引退を勧告して』と言っています。恵まれない子どもを抱え、自分から辞めるとは言えない」。狭心症。薬の助けを借りながら「母親」を続ける構えだ。

《略歴》
かみくり・かずこ
1918年7月28日、三原市生まれ。
東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大)保育実習科卒。名古屋市の保育所保母、三原市内の幼稚園教諭を経て、47年から同園の保母(現・保育士)主任。97年から東広島心を育てる教育推進懇話会21委員。


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