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■ 鈍い対応
代替材開発など進まず 「鹿児島県にとって、海砂は貴重な資源。安定確保の意味からも、漁協に協力を求めたい」。同県川辺郡笠沙町の笠沙町、野間池の両漁協などが、吹上浜沖の海砂採取区域の拡大に反対姿勢を打ち出す中、県河川課の担当者は困惑の表情を浮かべながらも、採取の必要性を強調した。 県内で生コンクリートなどに使う砂・砂利は陸砂、砕石がほぼ四割で、海砂が半分以上の六割を占めるからだ。 県の海砂採取区域は鹿児島湾の大根占・指宿地区、吹上浜沖、奄美大島、種子島・屋久島沖。一九九六(平成八)年度の採取量は百九十八万立方メートルに上る。吹上浜沖の採取量は四十四万立方メートルで、大根占地区の九十万立方メートルに次ぐ二番目の供給地である。 ローテで採取 今年二月、県が表明した吹上浜沖での採取区域の拡大計画はこうだ。本年度から、これまでの採取区域だった吹上浜に、浜の南部、北部を加え、年間六十万立方メートルを各地区内でローテーション採取する。河川課は「採取ができない場合、公共事業などに影響が出る」と強調した。 「海岸保全や水産資源の保護の観点から、輸入砂の利用検討、代替材の研究開発、建設廃材の再利用を促進し、海砂への依存度の軽減を図る」。県が採取拡大の計画を関連漁協に示した際の資料の記述である。 しかし、県の取り組みはこれからがスタートだ。海砂や陸砂の採取・販売業者でつくる県砂利協同組合連合会の板坂栄弥専務理事(63)は、コンクリート廃材の再生砂や輸入砂などの代替材について、「コストや陸揚げ場の確保という問題がある」と指摘する。同県日置郡東市来町には、「シラス」という鹿児島特有の火山灰・軽石層を砂に加工する工場もあったが、数年前に会社の倒産で閉鎖された。 全体量は同じ 県が「痛み分け」と表現する今回の計画より一足早く、吹上浜沖では九四年度から三年間、同様の採取場所のローテーション化を試行した。過去に採取を認めなかった東市来町の江口漁協も枠に組み込まれ、九五年度には採取量六十万立方メートルの半分が割り当てられた。 同漁協の元山良一参事(47)は「県は当時、代替材の確保を含め、海砂採取を減らす努力を約束した」と振り返る。今回の採取区域の拡大についても、「吹上浜沖の採取量は減るが、全体の採取量は変わらない」と、県の努力不足と対応の鈍さを批判する。 漁連ジレンマ 吹上浜沖の海砂採取区域は九四年度からすべて漁業権区域外になっている。業者の採取には漁協の同意に代わり、県漁業協同組合連合会の承諾が必要になる。是非を判断するため、県漁連は近く、関連漁協の意見を聞き始める。 「基本的には全会一致を目指す。諸条件を出してもらい、県と調整をしたい」と県漁連漁政対策課の横小路哲身課長(45)。一方で漁港など水産関連の施設整備を求める立場でもあり、「こうした工事に砂が欠かせない事実もあるし…」とジレンマも抱く。 笠沙町漁協の若い組合員たちと情報交換などを進める県漁協青年部連合会長の西田良一さん(47)は三月、漁業青壮年の全国組織・全国漁青連会長に就任した。 海砂の採取業者から漁協側に入る採取の迷惑料は一立方メートルにつき九十三円。「漁協経営のため、身を削る思いで採取を認める漁協幹部の気持ちは分かる」。西田さんは、そう前置きした上で、さらに強調した。「県の言う後継者の育成、資源管理型の漁業、漁港の整備は大切。しかし、その前提は豊かな海なんです」。 | ||
