本社調査写真グラフ   海深く争奪のつめ跡  


 海砂採取区域の海底は、荒れ果てていた。中国新聞社が、広島県内の元採取七区域のうち、竹原市周辺の三区域で十八日に実施した海底撮影調査は、深刻な環境破壊の実態を浮かび上がらせた。違法採取の発覚に伴う業者の自粛で、同県内の海砂採取が止まって既に五カ月。「少しは海底が復元しているだろうか」。水中ビデオカメラがとらえた映像は、そんな望みを断ち切った。

 調査の重点区域とした同市沖の大久野島の東部。「砂州が広がり、タイなどが食べるイカナゴも豊かじゃった」。多くの漁業者らが懐かしむ恵みの海は、「砂採り競争」で全く姿を変えていた。

 モニター画面に映るのは、瓦礫(がれき)を敷き詰めたような茶色の小石だけ。「砂がないぞ」。調査に同行した地質学の専門家で広島工業大環境学部の東元定雄教授(66)や竹原市海砂採取全面禁止同盟会世話人代表の吉田徳成さん(69)ら漁業関係者に、衝撃に似た驚きが広がった。


 船を回した阿波島の西部。水深二十四―三十五メートルの海底にも、砂は少ない。代わって、海砂採取で生じた穴の縁に、砂層の下にあった灰色の粘土層が次々と露出していた。漁業者は「ひどい」とつぶやき、画面から視線を外した。

 唯一、まとまった砂が見られた広島県豊田郡木江町の木江港沖。だが、かつて存在した砂州は確認できず、砂採取後の水深は二十メートルを超える。

 今回の調査では、採取区域ではなかった大久野島隣の小久野島の西側と、しゅんせつ土による人工藻場の造成計画がある阿波島西側の海岸近くにもカメラを入れた。

 小久野島の撮影地点は水深四・五ー九メートル、阿波島は二・五メートル。いずれも照明を使わず自然光での撮影ができ、海水の青さが印象的だ。二海域とも砂地が広がり、海草が見える。特に阿波島の周囲には、緑色のアマモが「海底の森林」を形成。採取区域の海底の荒廃ぶりとは、あまりに対照的だった。

 《違法採取の実態
 広島県内で海砂を採取していたのは三十一業者。広島県警や第六管区海上保安本部の捜査で、全業者の超過採取が判明。採取量は県の認可量の四―二倍にのぼった。今年一月末までに四社・六人が起訴され、他の二十七業者も書類送検された。広島県は二月十六日、海砂採取全面禁止に踏み切ったが、長年の超過採取がこうした海底の荒廃につながった。



大久野島東部の元採取区域
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阿波島西部の元採取区域
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木江港沖の元採取区域
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区域外は白砂の別世界

 阿波島西側の海岸沿い
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小久野島西側の非採取区域
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