4.4選の是非 実務に精通 権限絶大
■ 県民の関心どう高める ■
広島県の藤田雄山知事が県議会定例会で、秋の知事選への立候補を表明した六月二十七日。「県政史に新しい足跡を刻むのか」。県庁や県議会内に、賛否の入り交じる反応が広がった。
|
|
広島県議会の定例会で、一般質問に答えて立候補を表明する藤田知事(6月27日)
|
地方自治法が施行された一九四七年以後、広島県知事を務めたのは、藤田氏を含めて六人。うち最長の在任期間は、前知事である竹下虎之助氏の三期十二年。その「記録」の塗り替えに、藤田氏は挑むことになる。
えとが一回り
四選を多選と考えるかどうか―。本会議後の記者会見で集中した質問に、藤田氏は「線引きは難しい」と明言は避けた。一方で「組織が硬直化したり、すべてがトップダウンになったりしないようにすれば、多選の弊害と呼ばれるものは生まれない」とも述べた。
就任時に四十四歳だった藤田氏も、今や部長クラスと同年代の五十六歳になった。「知事のいすに座って、えとは一回り。知識と経験は豊富で、知事に正面から意見できる幹部は少ない」。ある職員は、実務に精通してきた藤田氏を評価する一方で、「イエスマンが増えた気がする」と自戒を込め打ち明けた。
四選以上の知事には、否応なく「多選」との批判がつきまとう。広島県知事の場合、一般会計ベースで一兆円を超す予算の執行権、教職員や警察官らを除く約七千人の県職員の人事権を持つ。許認可を中心とする権限は、土木建築、福祉、保健、農林水産など県民生活に深くかかわる分野で、三千九百八十件にも及ぶ。「多選」への戒めは、知事の権限が絶大であるから故でもある。
市町村合併後、都道府県再編、さらには道州制をにらむ議論が、国の地方制度調査会で本格的に始まった。「四選以上は(党推薦などは)出さない」。自民党の武部勤幹事長は一月、知事選をめぐってこう述べた。幹事長発言は尻すぼみになったが、背景には膨らむ権力への懸念があった。
最低の投票率
生活に直結した権限を握る一方で、県や知事の存在は市町村長に比べれば、県民には縁遠い。そんな中で藤田氏は、一九九三年の初当選の翌年から、県民が集う場に出向いてきた。
一期目は、お好み焼きをつくりながら語り合う「お好み焼き談義」。二期目は、各分野で活躍する県民との「広島ゆめ談義」、三期目の今は「You雄トーク」と銘打って、二十歳以下の学生も交えて県政への提言を受けている。
この県民との懇談は、広島、福山市を除くほぼ全市町村にわたり、参加者は計五百五十人を超える。が、県幹部が打ち明けた。「出席者の多くは市町が事前に選んだ県政への関心が高い人たち」。県民の県政への関心が必ずしも高いとはいえない一面を、過去三回の知事選の投票率が物語る。
前県議や前教育長との激戦だった一期目の投票率は47・66%。しかし、二期目は34・42%、前回は30・62%と二回続けて過去最低を更新した。
藤田氏が目指す四選と、それを決める知事選から遠のきつつある県民意識―。巨大な権限をめぐる四選の是非と合わせて、県政への関心をどう高めていくのか。四カ月後、候補者たちが回答を迫られるテーマである。
《全国知事の当選回数》
全国知事会によると、47都道府県知事のうち4期目以上は5人。最長は5期目となる島根県の澄田信義、高知県の橋本大二郎、福島県の佐藤栄佐久の3氏。4期目は群馬県の小寺弘之、奈良県の柿本善也の両氏。1期目が19人と最も多く、2期目は13人、3期目は広島県の藤田雄山知事ら10人となっている。