【知事後援会事件】改選後 試される真価 '07/3/24

 ▽攻める新人 守勢の現職

 広島市内から広島県議選に立つ予定の新人の事務所。「不透明なカネの流れを断ち切ろう!」。積み上げたチラシに太字の見出しが躍る。過去の知事選の際、県議らに対策費が渡ったとされる「あしき慣習」。藤田雄山知事の後援会に浮上した疑惑を意識し、新人はチラシを作った。

 ▽「争点に」約9割

 知事後援会の政治資金不正事件は、対策費や自民党県連への上納金など知事選を舞台に「選挙とカネ」の疑惑を表面化させた。発覚から既に一年四カ月。当事者である知事、同じ疑惑の目が向けられた県議会とも真相は解明できず、議会は改選を迎える。

 事件を県議選の争点にしようとしているのは、新人ばかりではない。立候補予定者への中国新聞のアンケートでは、新人の89・2%、現職の87・0%が「争点になる」と回答した。ただ、改選後の議会の役割をめぐっては認識に開きが出た。「知事、議会に及ぶ疑惑の解明」は新人が82・1%。現職は61・1%。新人が20ポイント余り高かった。

 「当然の結果」。ある自民党現職は、こう受け止めながら疑問を呈する。「発言や公約には実行責任が伴う。『解明を』と言うのは簡単だが、具体的な手法を考えているのだろうか」。攻めの新人、守りの現職。選挙戦の構図からしても、訴えの振り子は「新人有利」に傾くというわけだ。

 県議会が、知事後援会事件を扱う調査会を設置してちょうど一年。その間、県議会は親知事派と反知事派という図式で、主導権争いに終始してきた感は否めない。

 「あしき慣習をなくすためには、何があったかをはっきりさせるべきだ」「知事陣営に『金をよこせ』と求めたとされる県議会の関与も明確にし、配った側の知事にも責任を取ってもらわねば」…。県議選の告示が近づく中で、知事の辞職勧告決議案に反対した現職からも、こんな声が聞こえる。

 ▽議会側にも課題

 一方で、県議会内にも自らが律するべき課題が横たわる。収支報告書に領収書添付を義務付けていない政務調査費、支給額が実費を超えることがある交通費、費用と成果の見合いが明確ではない海外視察…。「知事の責任は免れないが、議会の在り方もおかしい」。現職、新人を問わず今、厳しい有権者の声にさらされていると、立候補予定者たちが明かす。

 告示まで一週間となった二十三日現在、広島県議選には九十八人が立候補を予定する。前回より六人多い候補者で、四減となった六十六議席を争うことになる。

 全国でも前例がない同じ知事への二度にわたる辞職勧告決議。それを突きつけた広島県議会は、疑惑の渦中に自らを置いたまま、新議員を迎える。一年以上も県政を揺るがす「選挙とカネ」をめぐる事件に、どう向き合うのか。重みを増す議席を手にした六十六人が、最初に問われる姿勢である。(荒木紀貴)=おわり

【写真説明】通勤客を乗せたバスに手を振る広島県議選の立候補予定者。「選挙とカネ」は選挙後も問われ続ける(16日、広島市内)


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