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【社説】新世紀初の国政選挙である第十九回参院選は、きのう公示され、二十九日の投票日に向け選挙戦がスタートした。小泉純一郎首相の掲げる「構造改革」を軸に、ニュアンスの異なる「改革」の訴えが街頭をにぎわしている。しかし、「改革」の大合唱の陰で、改憲の是非や、集団的自衛権、福祉の在り方といった国民にとって重要な問題も、争点になっていることを忘れてはならない。
しかも与党も野党も、多くは内部に異論をかかえている。必ずしも分かりやすい構図の選挙ではない。個々の候補者の主張をじっくり見極めることが大切である。
与野党党首の第一声は、改革の主役をめぐる「本家争い」の様相を見せた。それは、「聖域なき構造改革」で国民の圧倒的な支持を集めた小泉人気への相乗り作戦だったり、改革ムードを何とか自党に引き込もうとの目くらまし作戦だったりする。「自民党に勝利を与えてくれれば、確実に改革を目に見えるようにする」と小泉首相が自信を見せれば、保守党の扇千景党首は「がっちり支援していきたい」とスクラムの強さを強調する。公明党の神崎武法代表になると、「連立政権に公明党がいたからこそ自民党を変えることができた」と改革の主役は自分たちだと公言する。
「自民党の改革は本当の改革ではない」と自由党の小沢一郎党首ら野党は声をそろえる。「政権交代なくして真の構造改革なし」と主役の交代を求める民主党の鳩山由紀夫代表は、「自民党内の改革抵抗勢力に小泉首相は足を押さえ込まれている」と自民の抱える矛盾を指摘する。
確かに「改革」は看板ばかりで、本音は「利権」にあるような候補者は、よく見定める必要がある。「痛み」の考え方にも注意したい。社民党の土井たか子党首や共産党の志位和夫委員長の主張するように、国民や弱者ばかりに「痛み」を押し付ける改革では納得できるはずがない。そこらの具体的な改革のありようをしっかり見極める目も必要だ。
憲法問題にしても、「改憲」「論憲」「護憲」と大くくりにするだけでは実態は見えてこない。同じ政党に属しながら、憲法九条をめぐる考え方には、候補者によって、微妙だが重大な違いがあったりする。それらは与党と野党といった対立の構図だけではとらえられない、互いに入り混じった様相を見せている。一九九〇年代からのめまぐるしい連立の変転以降、与野党の構図は決して思想や信念だけによるものではなくなっている。それだけに一回一回の選挙結果によって、政界再編の動きがいつ起こっても不思議でないことを有権者は忘れてはならない。候補者の見極め方が重要なのだ。
公示前の日曜日に広島市で開かれた候補予定者の公開討論会は興味深かった。大学生ら若い人が中心になって開催しただけに、会場に若者の姿が多かったことも心強かった。何よりも質問のぶっつけ方で、候補者の考え方の違いが際立って見えてくることがおもしろかった。こうした試みが増えてくることを期待したい。今度の選挙は与野党の争いはもちろんだが、同じ党の候補者の選別も問われているのである。
   
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