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【社説】今、小中学校の教師や親の一番ホットな関心は「子供たちの学力
低下はどうなるか」である。ある校長に「今でさえ、もひどいと思
っているのに、新しい教科書になる来春以降の結果を見るのが恐ろ
しい」と打ち明けられた。この心配はすべての教師の意見を代弁す
るものではない。しかし、「一部の杞憂」で片付けられないのは、
わが国の義務教育の性格を左右する重要さを帯びているからであ
る。
子供たちの学力には一九八〇年代に文部省が導入した「ゆとり路
線」によって既に、赤信号がともっていることを認めざるを得な
い。例えば、昨年度の広島県教委の高校入試で、漢字の「世話」を
書けない子が30%、分数の2分の1+4分の1の計算ができない
子が7%いた。いずれも小学校で習う内容である。また、国際教育
到達度評価学会(JEA)が昨年公表した調査によると、日本の中
学生の数学の力は東アジア参加国の中で最下位だった。
新指導要領下では、授業時間で二割、教科内容で三割がさらに切
り詰められる。学力低下を招くという批判が高まるのも無理はない
ようだ。文部科学省が、要領の解釈を「教える内容の上限」から
「教師が学校で教える最低基準」へ変更したのは、その批判を認め
たことにほかならない。
新解釈は「できる子供には要領に縛られずに教えなさい」という
ことになる。十年をめどにしていた要領の見直しも随時行うとい
う。役所らしいなし崩しの、しかし、歴史的な政策変更と言えよ
う。教師の負担が増えるのは目に見えており、その抜本的な対応策
が盛り込まれてしかるべきである。
ところが、今回の参院選では与野党を問わず、そんな教育議論は
ほとんど見られない。教育力で国際社会を生きていく道しかないわ
が国では、教育は常に選挙の争点であるべきである。
先日、小泉純一郎首相が今後三年間に補助教員五万人を公立校に
配置することを表明したが、狙いは構造改革を進めるための雇用対
策にある。この程度で教育問題を素通りしたり、論議を棚に上げる
のはまずい。半年前、森喜朗内閣は教育を最重要課題に挙げたばか
りではないか。奉仕活動などを導入した教育改革関連三法は成立し
たが、改革はこれからである。
もちろん、学力低下は教育が抱える懸案の一例にすぎない。た
だ、学力問題とどう取り組むかは教育の本質に触れ、その解決策は
改革全般への教育理念の提示になろう。まず、子供たちに基礎学力
を付け、分かる授業をするには少人数学級の実現をはじめ、子供た
ちを託すに足りる教員人材の確保と増員、処遇の改善などを法的
に、財政的に裏付けすることを考えたい。
そのためにも有権者一人ひとりが、各党や候補者の教育への政策
や取り組み姿勢を洗い出し、点検しよう。
   
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