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【社説】参院選は大詰めに入ったが憲法、防衛、外交の論議は構造改革、景気対策の陰に隠れがちだ。二十一世紀初の国政選挙だが、日本の進路を決める課題が大きな争点にならないのは物足りなさを超えて不安である。
冷戦崩壊から十年余たつが、政府の防衛・外交政策は「五五年体制」時からあまり変わっていない。日米安保堅持―日米同盟強化― 憲法改正論は、西欧で進む軍縮や朝鮮半島融和の動きに逆らっていないか。「核廃絶の明確な約束」の国際合意の中で、非核三原則を国是にしながら核兵器に頼る抑止論にすがっている。
だが国民の間では憲法を全般的に見直す意見が増えている一方で、同盟強化へ進む日米安保の今の姿にも疑問を抱く声が少なくないようだ。憲法や安保の問題をかつてのようにイデオロギーで色分けできなくなった。政府や政党の政策は、こうした国民意識にこたえているだろうか。
論点の一つが「集団的自衛権の行使」だ。日米防衛協力を円滑に進める必要論と、憲法違反で「若者を戦場へ送るな」(共産党)などの反対論がすれ違う。建て前論から深まらず、有権者に理解しにくいのではないか。小泉純一郎首相は「日本近海で共同行動している米軍が攻撃された場合、自衛隊が何もしないでいいのか」と「行使を研究課題」に挙げた。だが自国防衛で行動中なら、個別的自衛権の範囲内で対処できる解釈が一般的だ。首相の論法には、あいまいさがある。
日本が攻撃されていないのに米国のために武力行使する集団的自衛権まで認める必要があるのか、ち密で分かりやすい踏み込んだ論議が足りない。集団的自衛権と改憲の是非でも自民、民主とも党内の意見が割れ、公約に掲げていない。与党も公明が反対、野党間も賛否が分かれる。持論を出さない候補者もいる。ミサイル防衛構想の見解も集団的自衛権にかかわり、同じような傾向だ。
日米安保は社民、共産を除く主な政党が防衛の基盤に据えている。だが近年の同盟強化は沖縄問題の解決を妨げてきた。米軍基地の削減は進まず、選挙中も米兵の犯罪が相次いだ。起訴前の身柄引き渡しなど日米地位協定の改善をどの党も口にするが、運用面の見直しから改正まで考え方に違いがある。基地を抱える都道県が求めている米軍の削減や騒音規制など協定の抜本改正にどうこたえるか。対米関係を機軸にするとしても、軍縮、人権などの観点から、どう取り組むのか姿勢が問われる。
日本世論調査会の全国調査では、米国の核の傘が「必要ない」との答えが55%に増えた。多くの政党が核抑止論であることと乖離がある。核の傘から脱却する道筋の議論が低調なのも残念だ。田中真紀子外相の安保体制やミサイル防衛への態度が「疑問」から「支持」に変わったと波紋を呼んでいる。ぐらつく外交姿勢は野党の追及材料とも思えるが、大きな声にならない。防衛・外交が票にならないとの打算が与野党ともにあることも一因だろうか。
良識の府の在り方を問う機会だ。選挙区、政党の枠にこだわらない新たな時代を開く防衛・外交の改革論を聞きたい。有権者にも既成概念にとらわれない見識が求められる。
   
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