中国新聞・参院選2001
団体・業界集票の「実力」浮き彫り 参院選 '01/8/1

 個人名でも政党名でも投票できる「非拘束名簿式」で初めて実施された参院選の比例代表。各政党は大量得票を狙い、著名人や組織力のある候補者を擁立した。中国地方でも、自民党支援の団体や業界が活発な運動を展開した。だが、個人名の投票は四割弱で、得票が目標に届かなかった候補も目立つ。「実力」が表れた格好の各種団体や業界は、困惑を隠さない。
業界・団体支援を受けた主な自民党比例候補
候補者名 支援業界・団体 得 票 当選
中国地方
得票
高祖 憲治 特定郵便局長OB 478,985 (2) 52,566
岩井 国臣 全国建設業協会 278,521 (5) 33,563
福島啓史郎 全国農業政治協会 166,070 (13) 28,989
段本 幸男 土地改良政治連盟 207,867 (10) 24,052
尾辻 秀久 日本遺族会 264,888 (7) 22,292
清水嘉与子 日本看護連盟 174,517 (12) 21,682
武見 敬三 日本医師連盟 227,042 (8) 21,325
藤井 基之 日本薬剤師連盟 156,380 (16) 16,442
森元 恒雄 自治消防関係団体 156,656 (15) 15,684
小野 清子 軍恩連盟 295,613 (4) 15,159
藤野 公孝 運輸観光業界 94,332   12,977
中島 啓雄 旧国鉄OB 95,109   9,048
中原  爽 日本歯科医師連盟 104,581 (20) 7,853
近藤  剛 経団連など経済界 160,425 (14) 6,727
依田 智治 自衛隊OB 78,584   3,088

 「全然良くない。郵政事業が民営化されたらどうなるか、という危機感が欠けているとしか思えない」。中国地方特定郵便局長会の佐々木正清会長は、自民新人の元郵政官僚高祖憲治氏の得票に不満をあらわにする。

 小泉純一郎首相の郵政事業民営化論に危機感を募らす郵政関係者は、特定局長夫人やOBでつくる「大樹」を中心に高祖氏を支援。高祖氏は自民の二位で当選し、組織の面目は保った。

 ところが、得票は約四十八万票で目標とした百万票の半分以下。中国五県でも約五万三千票にとどまり、陣営は「期待した数には、ほど遠い」とショックを受けている。

 約十七万票で当選した元農水官僚の福島啓史郎氏。後援会長を務めた原田睦民全国農協中央会会長は「目標より百万票少ない。選挙区候補の得票アップには役立ったろうが、組織には不満が残る」。支援者の価値観が多様化し、旧来の「一枚岩」の組織選挙はできなくなったという。

 元建設官僚の岩井国臣氏を支援した全国建設業協会中国ブロック協議会の桧山且典会長も、全国約六十万の建設業者数を引き合いに、岩井氏の約二十八万票の得票結果に不満。「投票所で候補名を思い出せず、仕方なく党名を書いた有権者も多かったようだ」と話す。

 一方、自民八位で当選した武見敬三氏を支援した真田幸三広島県医師会長は「得票は予想を下回ったが、当選順位は予想以上」。看護連盟や薬剤師会など関連団体の候補もいたが、元日本医師会長を父に持つ武見氏の知名度が奏効したとみる。

 有権者が意中の候補に投票できる新制度だが、知名度が当落を分ける側面があるのも事実。落選した陣営の中には「首相公選制になったら、テレビ出演の多い候補しか首相に選ばれないことを証明した」との声もある。


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