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政権が変わる<下> 移ろう暮らし '09/9/4

 ▽困惑や不安、公約に波紋 ETC器の客足遠のく

 今春、県内のカー用品店から消えた人気商品が、盆明けに陳列棚へ戻った。自動料金収受システム(ETC)車載器だ。衆院選のマニフェストに「高速道路の無料化」を掲げた民主党。政権交代が確実との選挙情勢が買い控えを呼んだ。

 周南市久米のイエローハット徳山店。入り口に「ETC入荷しました」と大書した看板が立つ。8月中旬に置いた。「品切れは7月末まで続いた」と店員は話し、言葉をつなぐ。「世論調査で民主党の優位が伝わると、客足が途端に鈍った」

 「政局より政策」と主張した自民党が経済対策の一環で打ち出したETC利用車の高速道路料金値下げ。3月開始が決まるや、同店の車載器はまたたく間に品薄に。入荷まで3カ月待ちとなった。

 ところが―。衆院選直前には「購入は選挙の結果を見て決めたい」との声が聞こえ始めた。担当者は「注文の殺到が落ち着き、ようやく売り出せると思ったのに」。県内の系列店でも車載器入荷の看板が買い物客を誘う。

 民主党はマニフェストに多様な政策を盛り込んだ。ガソリン税などの暫定税率の廃止、農家への戸別所得補償制度の創設、中学卒業まで子ども1人に月2万6千円を支給する子ども手当の導入…。政権交代で、変革の波は市民の生活やなりわいにも及ぶ。

 ▽「水差される」

 「商機ではあるが、戸惑いが大きい」。県内各地で給油所を展開する山田石油(周南市)の山田正敏社長(45)は暫定税率のカットをこう受け止めた。

 2007年4月から09年3月にかけて、県内の給油所が1割減るなど大競争時代の石油業界。ガソリンの低価格化で需要の伸長は見込めるが「燃料電池車への対応策の検討が業界で始まったばかり。こうした流れに水を差されても」と山田社長は困惑顔を浮かべる。

 農産品の販売価格と生産費用の差額を農家に直接支払う戸別所得補償制度。周防大島町でミカン栽培や稲作に打ち込む藤谷満則さん(68)は「毎年の赤字は年金で補ってきた。新制度は農家の最低賃金法だ」と期待する。

 ▽FTAに懸念

 一方で民主党は農産物の市場開放を伴う日米間の自由貿易協定(FTA)の締結にも前向きだ。「大島のように農地が狭い地域の農業が崩壊しないだろうか。所得補償の前に農業が維持できない」。同町のJA山口大島の吉村基(もとい)組合長(60)の不安は募る。

 港湾や国道などのインフラ整備も国が大きな役割を担ってきた。海面埋め立て事業や国道立体交差化の計画がある周南市。「勉強が必要とかでブレーキをかけられたら困る。『ちょっと調整します』と待たされたら、このまちは飛んでしまう」。島津幸男市長は1日の記者会見で新政権への注文をこう表現した。

【写真説明】県内のカー用品店に再び並び始めたETC車載器。政権交代で買い控えが続く




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