おもちゃマップ


■ 触れて知る古里の温かさ ■

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 「弓削大橋の手前に白いトラックがおるでしょう。島のミカンを尾道に運ぶ車。佐島の人が見たら、すぐ分かります」。愛媛県弓削町佐島の地図を指さし、「弓削ちゅうりっぷぐるーぷ」の小沢ヨシ子さん(52)が笑みをこぼす。縦横二メートル余りの生成(きな)りのキルティングに浮かび上がる芸予の島々。フェルトで作った建物や船、車の一つひとつが、島の生活の一コマだ。

 や幹線道をかたどるのは特殊な布。マジックテープを縫い付けた小物を着けたり外したりできる。小沢さんらは弓削町で毎月、子育て支援の遊び場を開いている。「布マップなら、小さな子供も地理に慣れ親しめる。それに布のおもちゃは、障害や世代を超えて一緒に遊べるんです」。昨年末、弓削島の布マップを完成させた。

 マップ作りは島づたいに広がった。まず、教員時代から小沢さんと親交のある岩城村の沢村治子さん(73)が、高齢者福祉のグループ「つくしの会」のメンバーと岩城島のマップを作った。同じ高齢者福祉に取り組んでいる伯方町の「はかた女性塾」は、三世代交流の理想的な集まりがあると聞き、小沢さんらに会いに来た。生名村では、手作りの布絵本を保育所などに寄付していた笹野三智子さん(49)が乗り出した。

 夏には、しまなみ海道の開通に合わせ、布マップで芸予諸島をつなごうと、「しまなみトイマップ制作グループ連絡会」を結成。今治市と越智郡の町村のほか、広島県側の瀬戸田町にも取り組みが広がっている。


島全域にお大師さんが散らばる岩城島(一番左)など、それぞれの布マップに島の持ち味があふれている
 布おもちゃの温かみに魅せられ、作ることそのものを楽しんでいる人もいる。温水プールやキャンプ場が目を引く生名島のマップを作った笹野さんは、「うちは施設をメーンにするしかなかった。昔ながらの名所が少ないことを再発見した」。岩城島に島四国八十八カ所の札所を縫い付けた沢村さんは、「島の財産はやはり、島四国。島めぐりに来てもらった人を案内する受け皿づくりを呼びかけたい」と、新たな目標を見つけた。

 一月末、伯方町内であった環境を考える講演会の会場に、七島六枚の地図がそろった。主催者は、海に囲まれた島の地図を見て、身近な環境問題に関心を持ってもらえばと、展示した。地元の小学生が、見覚えのある小物を取ったり付けたりして遊んでいた。

 架橋後は、イベント会場に展示して島を紹介したり、遊具として貸し出しもする計画だ。「マップを通じて女性たちの交流が広がればいいなと思います」と、はかた女性塾の広瀬淑子さん(59)。一針一針に思いを込めた女性たちの手で、広域ボランティアの構想が広がっている。



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