若妻クラブ <広島県向島町>


■ ワケギ栽培 仲間が励み ■

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 を閉め切っていた車のドアを開けたら、鼻を突く青臭いにおいが流れ込んだ。広島県御調郡向島町の岩子(いわし)島は、日本一の出荷量を誇るワケギの産地。五、六月まで続く出荷は今がピークで、数十センチに伸びたワケギが畑に緑のしま模様を描き出していた。

 ワケギは、収穫から出荷する状態に整えるまでが、ひと手間かかる野菜。株を一本ずつに分け、洗い、薄皮を取って数本ずつに束ねて・・・。一日に出荷するコンテナ数箱分をさばくのに、丸一日かかる。その作業を担うのは、主に女性たちである。

 「ワケギをやっていると、とにかく外に出る暇がない。仕事を離れて集まって、農作業の合間にゆとりの時間を持つことも大切」―。そんな農家の妻たちの思いで、「岩子島若妻クラブ」は一九八八年春に誕生した。

陽光を浴び、畑に緑のしま模様が浮かび上がる。手間の掛かるワケギ栽培を、女たちが支えてきた
 年まで五代目会長を務めた平谷真知子さん(45)は、向島から嫁いだ。夫の両親、二正さん(73)と幸子さん(72)の三人で、十五アールの畑でワケギと裏作のトマトを手がけてきた。二正さんが勤めに出ていたこともあり、ワケギ栽培のイロハは、幸子さんから教わった。

 ワケギ料理コンテストや茶話会など若妻クラブの集まりで、同じように島へ来て農業に取り組む同世代の女性に出会った。「お母さんに習ったのとは違う肥料のバランスとか、周りの人のいろんな栽培方法を聞くのが楽しくて」。島へ来た二十年前は気が乗らなかった畑仕事に、やりがいを見いだした。

 クラブは、ワケギ料理のPRで声を掛けることが多い。三月初旬にも情報誌から取材が舞い込み、現会長の岡本清子さん(46)ら四人のメンバーが集まった。ひと仕事終え、コーヒーを片手に気の置けない仲間と卓を囲む。「今年は伸び具合が悪いね」「○○さんが出荷するワケギは、いつもきれいよねえ」・・・。顔を合わすと結局、ワケギの話になる。

 居部屋を改装した作業場で、真知子さんが防音用の耳当てとゴムエプロンを着け、機械に向かう。皮と泥が取れたワケギを数本ずつ束ねるのは幸子さんの仕事だ。息子の結婚で幸子さんが台所を真知子さんに譲ったように、ワケギ栽培も今は真知子さんを軸に回る。「今の若い人は、よー勉強するけえ」。幸子さんが真知子さんを頼もしそうに見やる。

 幸子さんの時代は、皮むき作業も手仕事だった。関節が太くなり、指輪も入らないという。「嫁入り前の娘でなくても恥ずかしい」。幸子さんは笑い、「働き者の証(あかし)」であるその指を、最後まで見せてはくれなかった。



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