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| 活況の陰で | ||
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| ― 中 ― | 進まない航路再編 バス運行も見直し |
静かな法廷に張り詰めた空気が漂う。十月二十一日、広島地裁尾道支部であった 民事訴訟の第一回口答弁論。瀬戸内しまなみ海道の尾道、新尾道両大橋が架かる尾道水道で、 渡船を運航する尾道渡船(広島県御調郡向島町、宮本隆幸社長)の株主が、原告と被告に分かれた。
●新会社設立
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| 利用者が少なく、9日の運行を最後に廃止される因島―今治間の高速バス |
発端は、海道開通に伴う航路再編計画。「利用客が橋に流れ、 経営が苦しくなる」と六月、水道の六航路のうち、尾道渡船を含む三 航路を縮小するための新会社が設立された。その三週間後、尾道渡船 の臨時株主総会で、新会社への営業譲渡が多数決で決まった。
株主の一人として決議に反対し、自らも別の渡船を運航する福 本仁さん(51)と妻が「譲渡しなければならないほど、経営状態は悪く ないはず。譲渡価格も提示されなかった」などと主張。九月に入って 「決議は民法、商法違反」として提訴した。
橋開通による旅客業者への影響を軽減するために定められた本 四特別措置法は、航路再編に伴って、事業者が国から交付金を受けられ る期限を、二〇〇一年四月末としている。交付金を受ける再編は、それ までに実施しなければならない。
「猶予はない。決議はルールに沿っており、問題はない」とす る宮本社長。福本さんは「再編後の経営が不透明で、株主に説明がない まま、なされた決議は容認できない」と反論し、平行線が続く。
●大渋滞響く
「橋の通行料を払ったら、運賃はほとんど消える。とてもやれ ない」。広島交通(広島市西区)の山野裕常務はため息を漏らした。 ほかの四社と共同運行していた広島―松山間の高速バスが、しまなみ 海道開通半年の一日に廃止となった。
両市中心部を往復する広島―松山便は当初、一便当たりの平均 乗車数が十五人と見込まれていた。しかし実際には三・二−五・一人と 低迷。盆の帰省客で大幅増を期待した八月も四・五人にとどまった。九 月に五社が協議し、全社一致で廃止を決めた。
山野常務は「四時間かかるのが敬遠され、船から客が移らなかっ た。開通当初の大渋滞で、片道八時間以上かかったマイナスイメージも 響いた」とぼやく。
開通後、海道を走る高速バスは十一路線あった。このうち、広 島−松山線をはじめ三路線が一日に廃止され、因島市と愛媛県今治市間 を結ぶバスも、九日の運行を最後に止まる。
厳しい状況のなか、バス会社は残る七路線の存続策を練る。広島 交通は一日、広島―今治線で一九%引きの回数券販売を開始。尾道―今 治、福山―今治の両線を、他の三社と共同運行する本四バス開発(尾道 市)も、二種類の回数券を十二月から売り出す。
「観光ブームが沈静化する来年以降が正念場。ビジネス客を開拓し、 観光客だけに頼らない経営体制づくりを急がなければ」。本四バス開発の 岡田要一取締役は表情を引き締めた。