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(8)公団どこへ のしかかる巨額債務
大阪市内の高専で橋梁(りょう)工学を学んでいた西山伝(22)は、本四公団の就職面接でこう答えた。 それから二年。西山は第三建設局向島工事事務所で、本四架橋で最後の新尾道大橋を担当する。「ラストチャンスに恵まれた」。西山は屈託ないが、公団には夢の架け橋実現という宴の後が待つ。 200人職員削減 最大の課題は、本年度末で三兆八千六百億円もの借金返済。「第二の国鉄」と評されることもあるが、総裁の藤原良一(63)は憤りを隠さない。「人件費が相当のウエートを占めた国鉄では、管理費を料金収入で賄えない状態だったはず。うちは違う」。そして、収支両面で生き残りのシナリオを描く。 まずはリストラ。約七百人の公団職員を二〇〇一年度末には約四百八十人まで減らす。西山のいる向島工事事務所も開通と同時に廃止される。さらに建設、運輸両省や関係自治体からの出向者約百人を原隊復帰させ、プロパーの再就職先捜しに乗り出す。 次は収入増。三ルートの料金収入が順調に伸び、開通七年後には単年度収支で黒字転換する、とはじく。国内経済成長率が今後、二%前後で推移し、生産額や輸送量が緩やかに右肩上がりを続ける、という国の予測値がバックデータだ。 道路公団と統合案 だが、最悪のシナリオを描いてみせる学者もいる。 二十一世紀に入っても経済成長率は現状維持が精いっぱい。三ルートが客を奪い合い、収入が伸び悩む。二〇××年、借り換え時に金融機関から公団への貸し渋り現象が起き、資金繰りはピンチに。関係自治体も財政危機でさらなる出資金がひねり出せない。本四架橋の修理、維持管理も難しくなってくる―。 そう予測した北海道大法学部教授の宮脇淳(41)は「官がいうから大丈夫という時代は終わった」と公団の楽観論をばっさり切った。
これに対し、宮脇は「二つの公団のどんぶり勘定になり、改善すべき点が分からなくなる」と弊害を指摘する。公団企画開発部長の西田寿起(50)も「建設の時代に培った技術がないと適切な管理は出来ない」と合併による技術者の散逸を懸念する。 海外へも技術協力 架橋建設後の公団には、長大橋技術の継承という課題も残る。海外の長大橋への調査協力を視野に入れ、架橋技術の継承を図る長大橋技術センター(仮称)の設立を目指す。建設省などから、豊予海峡や紀淡海峡など十一の長大橋の技術検討をゆだねられてもいる。 今後の長大橋建設では公共事業の在り方も問われる。中村は「徹底した情報公開と、第三者による評価システム導入が必要」と提言する。本四三橋がどうつくられたか、どう使われるか、の検証がその前提となる。 (敬称略)
=第一部・おわり
(せとうち三橋時代取材班)
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