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(1)南北軸 人と物 新たな戦略模索 「しまなみ海道や、高知に至るやまなみ街道で、ルートフェスタなどを考えてはどうか」。今月十二日、広島市内のホテルに中四国九県の知事らが集まった中四国サミット。南北連携を探る愛媛県幹部の発言に広島県企画審議官、桑田俊一(41)は身を乗り出した。 やまなみ街道とは、愛媛から高知へと中山間地域を抜ける国道33号の仮称である。これをしまなみ海道と結び、中四国で特産品市のようなイベントを同時開催しようという試みである。三カ月前に愛媛県庁であった広島、愛媛の知事会談。この場で広島が示したアイデアを、今度は愛媛がより具体化させて再提案した。
![]() 本四架橋で生まれる南北軸は「三海二山(日本海、瀬戸内海、太平洋、中国山地、四国山地)ルート」と呼ばれる。広島、愛媛の両県は、島根、高知の二県と広島市を含めて中四国地域連携軸構想推進会議を結成したが、これまではシンポジウムなどの啓発活動どまり。しまなみ海道をどう利用するか、具体的な戦略は描けていない。 中四国各都市の顔は経済、政治力が集中する首都圏や近畿に向き、互いが向き合う交流が少なかったためだ。「距離的に近い中国と四国だが、実は最も遠かったのではないか」。松江市長の宮岡寿雄(68)の実感である。 高知から瀬戸大橋、岡山を経て島根に至る、もう一つの三海二山ルートの西日本中央連携軸推進協議会。広島などの西中四国に比べ、橋や横断道が早くできたぶんだけ、活動面で先行している。それでも共同物産展やホームページの開設などが主で、実体経済を動かすほどの人、物の流れは生み出せていない。岡山大経済学部教授の中村良平(45)は「東西が背骨なら、南北はろっ骨でしかない。その南北を結び付けるための連携もまだこれから」と指摘する。 か細い交通の流れ
今年三月に打ち出された新しい全国総合開発計画は、東京につながる従来の国土軸からの転換を訴えた。高知県企画振興部長の島田一夫(57)も「定住人口の増加が見込めない中、人の交流こそ大切だ」と新たな連携軸に熱いまなざしを注ぐ。だが、しまなみ海道を使った具体的な交流として各県が描けるのは、観光客誘致ぐらいである。 将来の可能性に夢 かつては山地から港へ、鉄や銀を運び出す南北軸があった。瀬戸内の港は、水軍などの海上勢力をはぐくんだ。「歴史文化の情報発信や、多様な研究機関のタイアップによる新産業の育成…。新しいタイプの交流発展が中四国でできないか」。桑田は将来の可能性に夢を託す。 愛媛、高知両県市町村の職員や朝市の主催者は今月末、国道54号沿いで広島と同時にフェスタを開催している島根側の会場を視察する。南北広域連携は、その第一歩をやっと踏み出すところだ。
(敬称略)
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