1998.10.24 
title (4)拠点再編

備後3市そろわぬ足並み

Graph  しまなみ海道起点の尾道市、中核都市の福山市、広島空港を背後に控えた三原市。備後地区の沿岸部では、三つの都市が横並びで四国に向き合っている。

 「関西へのメーンゲートは福山になるだろう」。しまなみ海道開通後の人の流れを、対岸のJR四国営業企画部長の松島裕彦(42)はこう予測する。新尾道大橋を渡り、しまなみ海道起点から道なりに北上すると、山陽自動車道の福山西インターに出る。しかもJR福山駅には新幹線「ひかり」の大半が停車するからだ。

福山はバス拠点に

 しまなみ海道の完成により、本四間の航路の多くが廃止、縮小される。それにとって代わる高速バスの拠点となるのが福山市。松山、今治両市と広島県を結ぶ高速バスのルートは、計四十九便。このうち福山発着は十八便と最多である。

 福山市内には、宿泊機能も約五千人分ある。大型スーパーなど大規模商業施設の出店も相次ぐ。市長の三好章(69)は「あくまで尾道が起点。うちはおこぼれをもらえればよい」と控え目ながら、「四国と結ばれることで、拠点性は一層高まる」と自信をのぞかせる。

再開発を急ぐ尾道

 一方、しまなみ海道の起点である尾道市の表看板は「瀬戸内の十字路」である。山陽道が九三年に開通、中国横断道尾道松江線の整備も始まるなど、高速交通網の結節点に位置している。架橋開通に合わせ、JR尾道駅前再開発事業を急ピッチで進めている。

 尾道といえば「坂と路地」の街。車での観光には適さない。しまなみ海道を通る車のうち、「一体、市内にどのぐらい降りてきてくれるか」と気遣う声もある。市長の亀田良一(71)は「駐車場を郊外に確保したい。街に手を加えず、寺社など本物を残していくことが、人を呼ぶことにつながる」と、今の街の姿を大きく変えない方針だ。

三原は空港に活路

 一九七五年の新幹線駅開業を機に、本四航路の玄関口の座を尾道から奪った三原市。ところが今治航路は、今年四月に明石海峡大橋の開通に伴って高速船が廃止された。一日十八便のフェリーも来春にはなくなる。港の拠点性が失われた後は、広島空港(豊田郡本郷町)の玄関口としての街づくりに望みを託す。

 その切り札が、同市と豊田郡瀬戸田町間に橋を架ける「新三原大橋(仮称)」構想である。市長の山本清治(67)は「しまなみ海道と広島空港を最短距離で結べる。経済的にも時間的にもメリットは大きい」と強調。両市町は経済界と架橋促進協議会をつくり、国県へ要望を続ける。

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尾道駅前に建設がすすむしまなみ交流館。しまなみ大学の拠点になる
 架橋開通に伴う本四間交通の陸路への移行が、そのまま拠点再編につながりそうな広島県東部。広島大経済部教授の戸田常一(47)は「しまなみ海道で広島と愛媛、さらに中国と四国を結びつけるためには、起点都市の尾道だけでなく福山、三原を含めた備後圏域をどう一体整備するかという視点が重要なはずだ」と指摘する。

 だが実際には、備後五市の市長会議は久しく開かれていない。三好は「五市の市長だけが集まっても特に共通の課題はない。観光戦略などは事務方でやればいい」。亀田は「福山や三原との連携より、中四国の連携だ」。山本も「それぞれ頑張っていけばいい」。

 架橋開通の日は近いが、三都市の足並みはなかなかそろいそうにない。

(敬称略)

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