1999.1.13 
title (2)車対策

混雑回避 あの手この手

map  しまなみ海道の生口島北IC料金事務所の会議室。料金収受機を相手に、職員らが車種別ボタンを押し、通行券を差し込む練習を繰り返している。処理時間は平均十六秒。一秒でも速めようと昨年十一月末から休憩時間中に続けているトレーニングだ。

 「あの日は、車があふれて大変だったから」と本四公団第三建設局営業課長の吉沢郁俊(46)。シトラスパーク瀬戸田(広島県瀬戸田町)開園後の連休中日だった昨年五月四日、生口橋から車の列が料金所に押し寄せてきた。出入りの通過台数は一万二千三百台と過去最高。二レーンの出口ゲートでさばききれず、因島の島内まで最大三・七キロの渋滞が一時間続いた。

 しまなみ海道が五月一日に開通しても当面、未着工区間が生口島で六・五キロ、愛媛県大島で六・三キロ残る。島内の国道を暫定使用することになる。

1日1万台を予測

 開通後、生口橋の通行台数は現在の日平均約五千台が約一万台へ倍増すると本四公団は見込む。生口島へ入る尾道方面からの車は生口島北ICからいったん降りる。瀬戸田は沿線でも有数の観光地。観光客のマイカーや観光バスに通過車両も加わり、渋滞は必至だ。

 このため本四公団は、開通までに生口島北IC料金所の出口ゲートを四レーンに増やす。「これで十分とは言えないが、五月四日のような混雑は起こらないだろう」と吉沢はみる。

 しかし料金収受処理を十五秒に短縮しても一時間でさばける台数は、四レーンで九百六十台。通過台数がそれを超えると、渋滞は避けられない。開通直後やイベント時の通行台数見通しも、公団が関係機関と協議してこれから立てる方針で、出たとこ勝負の印象はぬぐえない。

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料金所ゲートの増設工事が進む生口島北IC。出口が4レーン、入口が2レーンになる
島内道の拡幅急ぐ

 渋滞の恐れがあるのは、本線だけではない。昨年五月四日、生口島北ICから帰るマイカーなどで島内道路に最長で南北五・五キロの車列ができた。車をスムーズに流すため、県は島内国道の拡幅や右折レーンの設置を進めている。町も駐車場整備や誘導看板設置を急ぐが、自衛策に限界もある。

 過去、架橋の開通は、渋滞の悪評を引き起こしてきた。瀬戸大橋(一九八八年四月)では、六時間遅れで真夜中に道後温泉に到着した観光バスもあった。生口橋(九一年十二月)の時も生口島の島内に渋滞の列ができた。

 「最初に観光客へ悪印象を植え付けるとその後の客足にも響く」と瀬戸田町長の柴田大三郎(53)は気をもむ。島内にとどまる車を少しでも減らすため、瀬戸田―三原間のフェリーの増便を船会社に要請することも検討している。

相次ぐ信号機新設

 交通事故に対する不安も根強い。愛媛県大島でも、吉海町企画総務課長の矢野学(55)は「都会の車のスピードに慣れていないお年寄りが多い」と心配する。お年寄りや子どもを対象にした交通安全教室が、昨年から沿線各地で増えた。信号機新設も相次いでいる。

 昨年末、生口島、大島の未着工区間の設計費などが新年度予算案に盛り込まれることが確定した。それでも完成まであと五、六年はかかる。「住民生活へのさまざまな影響を考えると、長くは待てない」と瀬戸田町議会議長の杉原幸雄(76)。しまなみ海道「全通」の日を待ち望んでいる。

(敬称略)


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