1999.1.14 
title (3)サイクリング

快走観光へ整備いま一歩

map  愛媛県大三島町、大山〓神社近くの町有地に、かわら屋根の建物が姿を現し始めた。町が建設し、六十台の貸し自転車ブースや、汗をかいたサイクリストが使うシャワー室、休憩室を備えた「しまなみの駅 御(み)島」である。

 そこから四十分ほどペダルをこぐと、五月一日に開通する多々羅大橋に出る。右手に石鎚山系、左手に瓢箪(ひょうたん)島を眺めながら、世界最長の斜張橋千四百八十メートルの自歩道(自転車道と歩道)を渡り切ると、広島県瀬戸田町。町中心部の平山郁夫美術館までは二十分の距離だ。

滞在時間延長狙う

 しまなみ海道沿線で、瀬戸田町と大三島町は有数の観光地。橋を利用した回遊効果を狙い、両町の商工会は、連携して貸し自転車事業を始める。瀬戸田で借りた自転車を大三島で返す。その逆も可能だ。瀬戸田町商工会長の田中民男(63)は「観光客の滞在時間が長くなるはず」と当て込む。

 本四を結ぶ三ルートで唯一、自転車で渡れるしまなみ海道。開通後、「ツール・ド・しまなみ」と名付けたイベントが企画されるなどサイクリング機運は高まる。愛媛側の起点の今治市でも、来島海峡大橋が目の前に見える糸山公園で百人が泊まれるサイクリングターミナルが建設中。自転車貸し出し所、シャワー室などが入る。

 長さ四千百五メートル。世界初の三連つり橋の約六十メートル下には島々や渦巻く潮が広がる。「橋上を、風を切って駆け抜けると、海と島との一体感を味わえるだろう」。今治サイクリング協会理事長、門田志津雄(57)は、開通の日に思いをはせる。

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愛媛県大島で自転車道をチェックする尾道サイクリングクラブのメンバー。後ろは来島海峡第一大橋
路線の未整備26キロ

 期待の一方で、気掛かりも。広島、愛媛両県は二十五年前から、しまなみ九橋の自歩道を通り抜ける約九十四キロサイクリングルートを順次整備中。ところが、広島側で四十五キロ中二十二キロ、愛媛側で四十九キロ中四キロが未整備だ。サイクリング愛好者から「標識がわかりにくく、橋へ入るのに間違えそうな所がある」との不満も聞こえてくる。

 大三島、瀬戸田で連携して進むサイクリング拠点づくりや貸し自転車事業は、まだルート全域には広がっていない。乗り捨てシステムについては「利用予測が立ちにくい」などの声もあり、他の沿線市町間の連携は進まない。加えて、普段自転車に乗っていない人には橋上への坂道がきつい、との指摘も出始めた。

改善要望の動きも

 JR尾道駅前で自転車を貸し出す越智征士(54)は、電動自転車二台を用意し、需要を見てから増やす考え。四月の尾道駅前再開発ビルへの移転を機に、シャワー室なども設け、ツーリング用ビデオもつくる。また宿泊客用の電動自転車を用意する瀬戸田町のユースホステルもある。

 尾道サイクリングクラブ事務局長の香本昌義(63)らは、昨年十月末から、島々に出かけ、ルートをチェックしている。「トイレ不足、故障自転車の対応など課題は多い」として今月末、調査結果を沿線市町村に伝え改善を要望する。香本は「多島美の魅力を楽しめるルートだからこそ、快適な条件整備が欠かせない」と考えるからだ。

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(敬称略)


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